ドルメン(読み)どるめん(英語表記)dolmen

翻訳|dolmen

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドルメン」の意味・わかりやすい解説

ドルメン
どるめん
dolmen

巨石記念物一種。ケルト語でdolは机、menは石を意味し、大きな天井石と、それを支える数個の石からなる。支石墓と訳されているように、そのほとんどが墓と考えられている。新石器時代から鉄器時代にかけて世界的に分布しており、形態もさまざまである。朝鮮では、3、4個の大石の上に1個の大きな天井石をのせる卓子式支石墓や、支石が小さく墓室を構成しない基盤形支石墓などが知られている。またヨーロッパ羨道(せんどう)墳や通廊墳、日本の横穴式石室ドルメンとする考え方もある。イギリスの考古学者ダニエルは、ドルメンということばが、原形が何かわからない崩壊の著しい巨石建造物に使われる場合、モンテリウスの分類した「1枚の天井石が2個以上の側石によって支えられる単純石室」(デス)を意味する場合、またすべての巨石建造物をドルメンとよぶ場合など、実に多様に用いられており、学術的用語としてはこれを用いるべきでないと提唱している。アジアでは、朝鮮のほか中国東北部やインド、ベトナムなどで調査が進み、南米のサン・アグステンなどもよく知られている。

[寺島孝一]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドルメン」の意味・わかりやすい解説

ドルメン
dolmen

巨石記念物の一種。ケルト語の dol (机) ,men (石) に由来する語で,原始社会で造られた巨石墳墓をいう。数個または多数の巨大な支柱石の上に巨大な板状一枚岩を載せたもので,石室内に死体を埋葬し,上部架構は地上に露出している。ヨーロッパ,アフリカ,アジアにかけて,原始社会が急激に発達した新石器時代から鉄器時代の一時期に多く造られたが,東南アジアの一部には,今日までその伝統を受継いでいる部族もある。

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