海鼠壁(読み)ナマコカベ

デジタル大辞泉 「海鼠壁」の意味・読み・例文・類語

なまこ‐かべ【海鼠壁】

四角い平瓦ひらがわらを張り、その目地めじ漆喰しっくいをかまぼこ形に盛り上げて塗った壁。土蔵などの外壁に用いる。
[類語]白壁白亜粗壁城壁塁壁防壁外壁内壁障壁隔壁胸壁壁面

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精選版 日本国語大辞典 「海鼠壁」の意味・読み・例文・類語

なまこ‐かべ【海鼠壁】

  1. 〘 名詞 〙 土蔵・塗屋などの外壁で、四角な平瓦を並べて打ちつけ、目地しっくいでかまぼこ形に盛り上げて塗ったもの。大名屋敷長屋・塀、民家などに用いた。なまこ。
    1. [初出の実例]「新五左衛門殿はなまこ壁の裏門へわらぞうりでぐにゃと這入」(出典:洒落本・当世爰かしこ(1776))

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百科事典マイペディア 「海鼠壁」の意味・わかりやすい解説

生子壁【なまこかべ】

海鼠壁とも記す。壁面に四角い瓦を張り付け,その目地(つぎめ)を漆喰(しっくい)で小高くかまぼこ形にかためた壁をいう。風雨火災に耐えられる利点があり,江戸の大名屋敷・寺院等に用いられた。現在も伊豆半島一帯の民家等に見られる。

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家とインテリアの用語がわかる辞典 「海鼠壁」の解説

なまこかべ【なまこ壁】

塗り壁の仕上げの一種。平らな瓦(かわら)を壁に張りつけ、目地(めじ)の部分は漆喰(しっくい)を盛り上げた形に塗ったもの。雨や風などに強く、土蔵の腰壁(こしかべ)などに用いる。目地が縦横に通っているものや、斜め格子のものがある。◇漆喰目地の盛り上がった形が、海鼠(なまこ)に似るところから。

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とっさの日本語便利帳 「海鼠壁」の解説

なまこ壁

福島県喜多方市や岡山県倉敷市、静岡県松崎町など土蔵の多い町でよく見かける壁塗りの一工法。壁に平瓦を並べて打ち付け、瓦の目地に漆喰をかまぼこ形に盛り付け、斜め格子などの模様を造る。その目地の形が海鼠(なまこ)に似ていることからの名前。装飾的な目的だけでなく、耐火雨水を防ぐ役割もあった。

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世界大百科事典(旧版)内の海鼠壁の言及

【壁】より

…民家の塗屋造は簡易土蔵造というべきもので,土蔵造より壁厚が薄く,柱形などを見せるが,土蔵造との違いはあまり明確でない。土蔵造や塗屋造の腰に平らな瓦をはり,目地を漆喰で盛り上げたものを生子(なまこ)(海鼠)壁という。 貼付壁は書院や客殿の室内に用いられるもので,柱間にふすまと同じように格子状の木枠を組み,古紙で下張りをしてから鳥の子紙をはりつける。…

【倉∥蔵】より

…穀物や衣類,什器,武器などを納めておく建物。〈庫〉とも書かれる。構造の違いから高倉,板倉,校倉(あぜくら),丸木倉,石倉,土蔵(どぞう),穴蔵などがあり,管理や用途によって正倉,勅封蔵,郷蔵,米蔵,酒蔵,木蔵など,さまざまな名称がある。16世紀後半以降,防火のため,外側を土で厚く塗り込める形式が多く用いられるようになった。
[高倉]
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※「海鼠壁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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