日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナーナク」の意味・わかりやすい解説 ナーナクなーなくNānak(1469―1538) 中世インドの宗教家。ヒンドゥー教とイスラム教を統合したシク教の開祖。パンジャーブ地方の中心都市ラホール近郊に小農の子として生まれた。カビールなどから大きな影響を受け、30歳のとき出家、同郷の吟遊詩人マルダーナBhai Mardana(1459―1534)と2人のヒンドゥー教の農夫とともに諸国を巡歴し、神の唯一性、内在性を詩の形で説いた。彼の朝の賛歌は『ジャプジー』といわれ、他の彼の詩とともに、シク教の根本聖典『グラント・サーヒブ』に収められている。[宮元啓一 2018年5月21日][参照項目] | カビール | シク教 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナーナク」の意味・わかりやすい解説 ナーナクNānak [生]1469.4.15. ラホール近郊[没]1539. パンジャブシク教の開祖 (グル ) 。商人の家に生まれ,幼少からベーダに通じた。初めムガルの太守に仕官したが,神の啓示を受けてハリの信仰を地上に広めようと賛歌を歌いながらインド各地を遍歴し布教に努めた。唯一永遠の神を説き,ヒンドゥー教の業と輪廻の思想を受け継いだが,化身説を否定し,偶像崇拝をやめ,苦行を禁じ,カースト制度による差別を退けた。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報