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 ニ

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デジタル大辞泉の解説

に[五十音]

五十音図ナ行の第2音。歯茎鼻音の有声子音[n]と母音[i]とから成る音節。[ni]
平仮名「に」は「仁」の草体から。片仮名「ニ」は「二」の全画。

に[助動]

[助動]
《断定の助動詞「なり」の連用形》⇒なり[助動]
《完了の助動詞「ぬ」の連用形》⇒[助動]

に[格助・接助・終助・並助]

[格助]名詞、名詞に準じる語、動詞の連用形・連体形などに付く。
動作・作用の行われる時・場所を表す。「三時間に合わせる」「紙上発表する」
人・事物の存在や出現する場所を表す。「庭池がある」「右見えるのが国会議事堂です」
動作・作用の帰着点・方向を表す。「家着く」「東向かう」
動作・作用・変化の結果を表す。「危篤陥る」「水泡帰する」
動作・作用の目的を表す。「見舞い行く」「迎え行く」
動作・作用の行われる対象・相手を表す。「人よくかみつく犬」「友人伝える」
動作・作用の原因・理由・きっかけとなるものを示す。…のために。…によって。「あまりのうれしさ泣き出す」「退職金をもとで商売を始める」
動作・作用の行われ方、その状態のあり方を表す。「直角交わる」「会わず帰る」
資格を表す。…として。「委員君を推す」
10 受け身・使役の相手・対象を表す。「犬かまれた」「巣箱を子供たち作らせる」
11 比較・割合の基準や、比較の対象を表す。「君似ている」「一日三回服用する」
12 (場所を示す用法から転じて、多く「には」の形で)敬意の対象を表す。「博士は古稀(こき)の祝いを迎えられた」「先生はいかがお過ごしですか」
13 (動詞・形容詞を重ねて)強意を表す。「騒ぎ騒ぐ」
14 「思う」「聞く」「見る」「知る」などの動詞に付いて状態・内容を表す。
15 比喩(ひゆ)の意を表す。
[接助]活用語の連体形に付く。
あとの叙述の前置きとして続ける意を表す。…と。…ところ。「考えてみる庶民のための政治は当分望めそうにない」「こともあろう警官にけんかを売るとは」
理由・原因を表す。…ので。…だから。
逆接の確定条件を表す。…けれども。…のに。…だが。
添加・並列を表す。…のに加えて。…の上にさらに。
[補説]接続助詞「に」は、用言の連体形に付く格助詞「に」から転じたもので、1は口語では多く「要するに」「こともあろうに」などの慣用的表現として用いられる。
[終助]
《上代語》活用語の未然形に付く。他に対してあつらえ望む意を表す。…てほしい。
《近世語》活用語の終止形に付く。軽く注意を促したり、とがめたりする意を表す。…のにな。…のだぜ。
[並助]並列・列挙・添加・取り合わせを表す。「バターチーズ牛乳」「月むら雲、花嵐」
「熟田津(にきたつ)―舟(ふな)乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな」〈・八〉
「二十一日、卯(う)の時ばかり―船出(い)だす」〈土佐
「蟻のごとくに集まりて、東西―急ぎ、南北―走(わし)る」〈徒然・七四〉
「青葉―なり行くまで、よろづにただ心をのみぞ悩ます」〈徒然・一九〉
「白馬(あをうま)見―とて里人は車清げにしたてて見―行く」〈・三〉
「人―若菜給ひける御歌」〈古今・春上・詞書〉
「春の野に若菜摘まむと来(こ)しものを散りかふ花―道はまどひぬ」〈古今・春下〉
「桐の木の花、紫―咲きたるはなほをかしきに」〈・三七〉
「はじめより我はと思ひあがり給へる御方々、(桐壺ノ更衣ヲ)めざましきもの―おとしめそねみ給ふ」〈・桐壺〉
「ありがたきもの、舅(しうと)―ほめらるる婿」〈・七五〉
「御袴着(はかまぎ)のこと、一の宮の奉りし―劣らず」〈・桐壺〉
「うへ―も聞こしめして渡りおはしましたり」〈・九〉
「風いたう吹き、海の面(おもて)ただあし―あしうなるに」〈・三〇六〉
「この継母の有様をあたらしきもの―思ひて」〈・帚木〉
「逢坂をうち出でて見れば近江の海白木綿花(しらゆふはな)―波立ち渡る」〈・三二三八〉
「あやしがりて寄りて見る―、筒の中光りたり」〈竹取
「渡し守、はや舟に乗れ、日も暮れぬと言ふ―、乗りて渡らむとするに」〈伊勢・九〉
「日中の照りに乾いて、きょうは道が好かった―、小庭の苔はまだ濡れている」〈鴎外・蛇〉
「よろしうよみたりと思ふ歌を人のもとにやりたる―、返しせぬ」〈・二五〉
「旅の空を思ひやるだにいとあはれなる―、人の心もいと頼もしげには見えずなむありける」〈かげろふ・上〉
「ひさかたの天路(あまぢ)は遠しなほなほに家に帰りて業(なり)をしまさ―」〈・八〇一〉
「飯をたいたら、かゆになってしまうわな。米をたくといへばいい―」〈滑・膝栗毛・初〉
「有識(いうそく)―公事(くじ)のかた、人の鏡ならんこそいみじかるべけれ」〈徒然・一〉

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大辞林 第三版の解説

五十音図ナ行第二段。硬口蓋鼻音の有声子音と前舌の狭母音とから成る音節。
平仮名「に」は「仁」の草体。片仮名「ニ」は「二」の全画。

( 助動 )
〔打ち消しの助動詞「ず」の古い連用形。上代語〕
…ないで。…ないので。 「己おのが緒を盗み殺せむと後しりつ戸よい行き違ひ前つ戸よい行き違ひ窺はく知らと御真木入日子はや/古事記 」 「春されば我家わぎえの里の川門かわとには鮎子さ走る君待ちがて/万葉集 859」 〔上代でも「知らに」「飽かに」「かてに」など,付く語は限られている〕 → ず(助動)

( 助動 )
〔断定の助動詞「なり」の連用形〕
断定の助動詞「なり」に同じ。 「かぐや姫のいはく,月の都の人て,父母あり/竹取」 「いかばかりの昔の仇敵かおはしけむとこそ思ほゆれ/源氏 真木柱」 「人などに立ちまじるべき有さまもなく見苦しくやせ衰へ/讃岐典侍日記」 〔「にあり」 「になし」 「にして」 「にて」 「にや」などの形で用いられることが多い〕 → なり(助動)

( 助動 )
〔完了の助動詞「ぬ」の連用形〕

( 格助 )
〔上代から用いられている語で,動作・作用が行われ,また存在する,時間的・空間的な位置や範囲を示すのが本来の用法〕
時を指定する。 「五時-起きる」 「仕事の合間-本を読む」
場所・範囲を指定する。 「アパート-住む」 「空-星がまたたく」
目標・対象などを指定する。 「読書-熱中する」 「魚釣り-行く」 「君-見せてやろうか」
帰着点や動作の及ぶ方向を表す。 「家-たどりつく」 「車-乗る」 「危篤きとく-おちいる」
動作・作用の起こる原因やきっかけを表す。 「山登り-夢中になる」 「前祝い-酒を飲む」 「恐ろしさ-ふるえる」 「やぶ蚊-苦しむ」
比較・割合の基準を表す。 「一か月-二日の休み」 「親-似ぬ子」 「子-まさる宝はない」
動作・作用の起こるみなもとを表す。 「人-ぶたれる」 「盗人ぬすつと-金をとられる」
ある資格をもつという意を表す。として。 「ごほうび-千円もらう」 「浅緑いとよりかけて白露を珠-もぬける春の柳か/古今 春上
変化する結果を表す。 「学者-なる」 「星-なりたい」
動作・状態の行われ方・あり方を表す。 「左右-ゆれる」 「ぴかぴか-光る」
(多く「には」「にも」などの形で)尊敬すべき主語を表すのに用いる。 「陛下-は,両三日御休養の御予定であります」
(「…には…が」の形で,活用語の終止形に付いて)条件付きの許諾の意を表す。 「行く-は行くが,しばらく待ってくれ」 「いい-はいいが,値段が高い」
(同じ動詞を重ねた間に用いて)程度のはなはだしいことを表し,その動詞の意を強める。 「待ち-待ったこの日」 「斬り-斬って斬りまくる」
動作が行われる手段・方法を表す。で。によって。 「この皮衣は火-焼かむに,焼けずはこそまことならめと思ひて/竹取」
状態を認定するのに用いる。のように。の状態で。 「花ぞむかしの香-にほひける/古今 春上
( 並立助 )
から転じた用法〕 名詞および準体助詞「の」に付いて,同趣のものの添加,対比・取り合わせなどの意を表し,また,対等に並べあげるのに用いる。 「月-むら雲」 「ロイドめがね-燕尾服えんびふく」 「古いの-新しいのと,いろいろ組み合わせる」 「米-みそ-醬油-,何から何まで足りないものばかりだ」
( 接助 )
から転じた用法〕
動詞の終止形に付いて,本論を述べる前の前置きを表す。
「思う-,国際情勢は悪化の一途をたどっている」 「一言で言ってみる-,…」
(「…もあろうに」の形で)逆接的な意を表すのに用いる。 「こともあろう-,飲酒運転するとは」
(動詞の連体形に付いて)
前件から後件へ,時間的に継起していることを表す。…すると。…したところ。 「あやしがりて寄りて見る-,筒の中光りたり/竹取」
前件が後件の原因・理由であることを表す。ので。から。 「舟とく漕げ,日のよき-/土左」
逆接の条件を表して,前件から予想される結果が後件と食い違う場合に用いる。のに。が。 「しばしかなでて後,抜かんとする-,大方抜かれず/徒然 53
(「むに」の形をとって)前件が後件の仮定条件に立つ場合に用いる。 「たまさかにても,かからむ人をいだしいれて見む-,それにますことあらじ/源氏 紅葉賀
( 終助 )
からさらに転じてできた用法〕
(「…うに」「…ように」の形をとって)言いきかせたり,あわれみ惜しむ意を添えるのに用いる。 「さぞお嘆きだったでしょう-」 「ああしておけばよかったろう-」
〔近世の用法〕 人の注意をうながす意を添える。 「しづかにしなさろ,むすめが目をさます-/滑稽本・膝栗毛 3

( 終助 )
〔上代語〕
動詞・助動詞の未然形に付き,他に対してあつらえ望む意を表す。…してほしい。 「ひさかたの天路は遠しなほなほに家に帰りて業をしまさ-/万葉集 801

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説


五十音図第5行第2段の仮名。平仮名の「に」は「仁」の草体から、片仮名の「ニ」は「二」からできたものである。万葉仮名では「爾、邇、二、仁、人、日、尼、耳、而、柔、珥、貳(以上音仮名)、丹、荷、煮、似、煎(以上訓仮名)」などが使われた。ほかに草仮名としては「(仁)」「(尓)」「(耳)」「(丹)」「(二)」「(尼)」などがある。
 音韻的には/ni/で、前舌面と硬口蓋(こうこうがい)との間で閉鎖ができる[]を子音にもつ。中央語では室町時代の末ごろまで連声(れんじょう)が盛んで、これによって生じた「に」もあった(「嗔恚(シンニ)」「村邑(ソンニウ)」……)。[上野和昭]

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