デジタル大辞泉 「に」の意味・読み・例文・類語
に[格助・接助・終助・並助]
1 動作・作用の行われる時・場所を表す。「三時
「
「二十一日、
2 人・事物の存在や出現する場所を表す。「庭
3 動作・作用の帰着点・方向を表す。「家
「蟻のごとくに集まりて、東西―急ぎ、南北―
4 動作・作用・変化の結果を表す。「危篤
「青葉―なり行くまで、よろづにただ心をのみぞ悩ます」〈徒然・一九〉
5 動作・作用の目的を表す。「見舞い
「
6 動作・作用の行われる対象・相手を表す。「人
「人―若菜給ひける御歌」〈古今・春上・詞書〉
7 動作・作用の原因・理由・きっかけとなるものを示す。…のために。…によって。「あまりのうれしさ
「春の野に若菜摘まむと
8 動作・作用の行われ方、その状態のあり方を表す。「直角
「桐の木の花、紫―咲きたるはなほをかしきに」〈枕・三七〉
9 資格を表す。…として。「委員
「はじめより我はと思ひあがり給へる御方々、(桐壺ノ更衣ヲ)めざましきもの―おとしめそねみ給ふ」〈源・桐壺〉
10 受け身・使役の相手・対象を表す。「犬
「ありがたきもの、
11 比較・割合の基準や、比較の対象を表す。「君
「御
12 (場所を示す用法から転じて、多く「には」の形で)敬意の対象を表す。「博士
「うへ―も聞こしめして渡りおはしましたり」〈枕・九〉
13 (動詞・形容詞を重ねて)強意を表す。「騒ぎ
「風いたう吹き、海の
14 「思う」「聞く」「見る」「知る」などの動詞に付いて状態・内容を表す。
「この継母の有様をあたらしきもの―思ひて」〈源・帚木〉
15
「逢坂をうち出でて見れば近江の海
[接助]活用語の連体形に付く。
1 あとの叙述の前置きとして続ける意を表す。…と。…ところ。「考えてみる
「あやしがりて寄りて見る―、筒の中光りたり」〈竹取〉
2 理由・原因を表す。…ので。…だから。
「渡し守、はや舟に乗れ、日も暮れぬと言ふ―、乗りて渡らむとするに」〈伊勢・九〉
3 逆接の確定条件を表す。…けれども。…のに。…だが。
「日中の照りに乾いて、きょうは道が好かった―、小庭の苔はまだ濡れている」〈鴎外・蛇〉
「よろしうよみたりと思ふ歌を人のもとにやりたる―、返しせぬ」〈枕・二五〉
4 添加・並列を表す。…のに加えて。…の上にさらに。
「旅の空を思ひやるだにいとあはれなる―、人の心もいと頼もしげには見えずなむありける」〈かげろふ・上〉
[補説]接続助詞「に」は、用言の連体形に付く格助詞「に」から転じたもので、1は口語では多く「要するに」「こともあろうに」などの慣用的表現として用いられる。
[終助]
1 《上代語》活用語の未然形に付く。他に対してあつらえ望む意を表す。…てほしい。
「ひさかたの
2 《近世語》活用語の終止形に付く。軽く注意を促したり、とがめたりする意を表す。…のにな。…のだぜ。
「飯をたいたら、かゆになってしまうわな。米をたくといへばいい―」〈滑・膝栗毛・初〉
[並助]並列・列挙・添加・取り合わせを表す。「バター
「