デジタル大辞泉 「なり」の意味・読み・例文・類語
なり[接助・副助・並助]
1 ある動作・作用が終わったと同時に、他の動作・作用が行われる意を表す。…するとすぐに。「玄関に入る
2 (助動詞「た」に付いて)ある動作が成立して、それが継続している意を表す。そのままの状態で。…したまま。「出て行った
[副助]名詞、名詞に準じる語、副詞、活用語の終止形、助詞などに付く。それ以外にも適当なものがあるという気持ちを含めて、ある事柄を例示的に示す意を表す。…でも。「彼に
[並助]並列・列挙した中から、どれか一つを選択する意を表す。…か…か。「兄さん
[補説]「なり」は文語の断定の助動詞「なり」から転じたもので、近世以降、助詞として用いられた。ただしについては「形・ようす」の意の名詞「なり」からの転という説もある。は「なりと」「なりとも」となる場合もある。は「…なり…なり」となるのが普通であるが、後の「なり」が省略される場合もある。
なり[助動]
1 断定の意を表す。…だ。…である。
「そのとき、右の馬の
2 (主に連体形「なる」の形で)存在の判断を表す。…にある。…にいる。…にあたる。
「小諸なる古城のほとり雲白く遊子悲しむ」〈藤村・千曲川旅情の歌〉
「さるべき故ありて東山なる所へ移ろふ」〈更級〉
3 (多く根拠を示す語を伴い文末に用いて)事柄を説き示す意を表す。…のである。…からである。
「都へと思ふを物の悲しきは帰らぬ人のあればなりけり」〈土佐〉
4 (人や物などに付いて)「という」の意を表す。→たり
「顔回なる者あり。学を好む」〈論語・
[補説]連体形「なる」は室町時代に「な」となり、口語の助動詞「だ」の連体形に、未然形「なら」は同じく仮定形に用いられるようになった。4は漢文訓読からの用法。また終止形を「也」と書いて、「金参万円也」のように、証書などで金額にそれ以下の数字がないことを示すのに用いる。
なり[助動]
1 音や声が聞こえるという意を表す。
㋐…の音や声が聞こえる。
「みとらしの
㋑他から伝え聞いたことを表す。…そうだ。…ということだ。…と聞いている。
「また聞けば、侍従の大納言の
㋒音・声やうわさなどに基づく推定を表す。…するようだ。…しているらしい。
「呼びわづらひて笛をいとをかしく吹きすまして過ぎぬなり」〈更級〉
2 詠嘆の気持ちを表す。…であることよ。…ているよ。「
[補説]一般に伝聞推定の助動詞とよばれ、語源については「