ヌペ族(読み)ヌペぞく(英語表記)Nupe

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヌペ族」の意味・わかりやすい解説

ヌペ族
ヌペぞく
Nupe

ナイジェリア中央部,ニジェール川とカドゥナ川流域に居住する民族。言語は,ニジェール=コンゴ語派のクワ諸語に属する。人口約 110万と推定される。ベニ,ザム,バタチェ,ケデなど多数の地域集団に分れる。生業は主として移動耕作によるとうもろこし,ソーガムなどの栽培を行うが,ケデは川辺漁業交易を営む。鍛冶屋,真鍮工などの職人のギルドが発達し,その技量は古くより知られた。 19世紀初頭にはフルベ族がヌペ古王国を征服しイスラム帝国を築いた。王国は,エツ・ヌペと呼ばれる王の統治のもと,地方分権的な封建宗主国 (エミレート) に分れ,しかも伝統的政治組織をそのまま村などの下部組織に残し,政治的には完全な二重構造をとった。社会は王族,貴族,平民に階層化されていた。ほとんどがイスラム教徒であるが,祖先崇拝儀礼も残されており,妖術も行われている。

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