ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハイイロガン」の意味・わかりやすい解説
ハイイロガン
Anser anser; greylag goose
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カモ目カモ科の鳥。ユーラシア大陸の中緯度地方で繁殖し,冬季にはヨーロッパおよびアジアの南部に渡る。ヨーロッパではかつてほぼ全土で繁殖していたが,現在は北と東ヨーロッパにだけ繁殖している。日本にはごくまれに冬鳥として渡来する。湖沼,湿地にすむ。全長約84cm。体は全体に灰褐色で,とくに頭頸(とうけい)部は灰色みが強い。下面は淡色である。くちばしはアジアの亜種では桃肉色だが,ヨーロッパの亜種では橙赤色をしている。脚はピンク。翼を広げたとき,雨覆羽は日本に渡来する他のどのガンよりも灰白色みが強いので,容易に他種と識別できる。食物はおもに草木類の種子や葉で,歯のようになっている縁をもったくちばしでかみ切って食べる。湿地や草むらの中の地上に枯茎や小枝を集めて巣をつくり,産座には多量の羽毛を敷き,1腹4~8個の卵を産む。抱卵期間は約28日。家禽(かきん)のガチョウはヨーロッパと中国でつくられ,ヨーロッパでは本種を,中国ではサカツラガンを改良したものと考えられている。そのためヨーロッパではハイイロガンをwild gooseとも呼ぶ。
執筆者:柳沢 紀夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…ガンカモ目に属する家禽(かきん)で,ヨーロッパ系のものAnser anserと中国系のものA.cygnoidesがある。前者はハイイロガンをエジプトで前2800年ころに家禽化したもので,主要品種としてはエムデン種Embden(ドイツ原産,白色,体重8.0~9.0kg)(イラスト)やトゥールーズ種Toulouse(フランス原産,灰褐色,体重9.0~12.0kg)(イラスト)がある。…
※「ハイイロガン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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