(読み)ワン(その他表記)bay

翻訳|bay

デジタル大辞泉 「湾」の意味・読み・例文・類語

わん【湾〔灣〕】[漢字項目]

常用漢字] [音]ワン(漢)
海が陸地に入り込んでいる所。「湾口湾内峡湾港湾
(「」の代用字)弓なりに曲がる。「湾曲湾入
[名のり]みずくま

わん【湾】

海が陸地に大きく入り込んでいる海面
[類語]入り江入り海峡湾フィヨルド

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精選版 日本国語大辞典 「湾」の意味・読み・例文・類語

のたれ【湾】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 刀剣の刃文の一つ。波のうねるような形のもの。曲線の大小によって、大のたれ・小のたれという。のたれば。のたれやきば。
    1. 湾<b>①</b>
  3. 中位の大きさの刀。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  4. 笛の低い音の吹き方。
    1. [初出の実例]「すずしめ給へと云所にて、笛、呂ののたれ吹」(出典:八帖花伝書(1573‐92)七)

わん【湾】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 海や湖が陸地に大きくはいりこんだところ。入海(いりうみ)入江。海湾。〔撮壌集(1454)〕
    1. [初出の実例]「港は少しく大なるものを、湾と云ふ」(出典:地理初歩(1873)〈文部省編〉八)
    2. [その他の文献]〔李東陽‐長沙竹枝歌〕
  3. 国際法上、一つの入口で公海に連なる閉ざされた海であって、湾口を横切って引いた線を直径とする半円面積以上のものをいう。また、沿岸国が長年にわたって支配し、特別の慣習によって内水と認められてきた水面は、これらの条件を備えないでも「歴史的湾」として認められる。

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普及版 字通 「湾」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 12画

(旧字)灣
25画

[字音] ワン
[字訓] いりうみ

[字形] 形声
旧字は灣に作り、彎(わん)声。彎に彎曲の意があり、入江・入海のように彎曲する地勢のところをいう。六朝期の頃から用例がみえる。

[訓義]
1. いりうみ。
2. いりこむ、まがりこむ。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕灣 水回るなり。左加万(さかまき)〔名義抄〕灣 セセラク・フカシ・ミドリ・ナミ・ミヅノホトリ・サヤカニ・ミナアヒ

[語系]
灣・彎oanは同声。彎は弓に矢をつがえて関(ひ)く意。その弓が彎曲することをいう。關(関)koanは声義に関係のある語である。uanもまるく刳(えぐ)る意があり、また声義の関係が考えられる。

[熟語]
・湾環・湾碕・湾磯・湾曲・湾然・湾直・湾頭・湾入・湾浦・湾湾
[下接語]
一湾・遠湾・回湾・寒湾・碕湾・旧湾・銀湾・渓湾・港湾・珠湾・春湾・深湾・水湾・池湾・澄湾・汀湾・濤湾・風湾・平湾・浦湾・瞑湾・幽湾・緑湾

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「湾」の意味・わかりやすい解説


わん
bay

陸地の中に入り込み、外海に開口している海面。湾の面積は、メキシコ湾(アメリカ合衆国南部)、ベンガル湾インド洋)、ハドソン湾(カナダ北東部)のようにきわめて広大なものから、日本列島あるいはその属島にある湾のようにきわめて小規模なものまで存在する。外洋から陸地に入り込んでいるので、小規模なものは、とくにその中は波が静かで、港湾や風待の港として発達している所が多い。その成因によって、陥没湾、階段湾、氾濫(はんらん)湾に分けられる。ベンガル湾、アデン湾(アラビア半島南端)、鹿児島湾、内浦(うちうら)湾(北海道)などは陥没湾の好例で、アラスカ湾(アメリカ合衆国)は階段湾、黄海や有明(ありあけ)海は氾濫湾の例である。

[市川正巳]

国際法上

湾とは、その海岸が同一の国の領土に属し、湾の入口の幅が比較的狭く、かつ海の陸地への入り込みが深い海の部分をいう。従来、一国の領域となる湾は、入口の幅が10海里までの湾とされてきた。しかし領海の幅が拡大される傾向を反映して、現在の海洋法条約では、湾口の幅を24海里までとし、かつ湾の奥行が湾口の幅と比較して十分に深いために陸地に囲まれた水域を含んで、単純な海岸のくぼみ以上の明白な湾入としている。そして湾入の面積が、湾口を横切って引かれた線を直径とした半円の面積以上の広さをもつものとしている。入口の幅が24海里を超えないときには、入口に閉鎖線を引いて、その内側の水域を内水とする。また幅が24海里を超えるときには、湾内で24海里に狭まるところで、かつ湾内に最大の水域を囲むように閉鎖線を引き、その内側水域を内水とする。なおこれらの規制は、歴史的湾に適用されない。

[中村 洸]

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改訂新版 世界大百科事典 「湾」の意味・わかりやすい解説

湾 (わん)
bay

湾は海岸線が陸に深く湾入した部分で,湾口部に引いた直線を直径とする半円を想定し,その半円の面積より広い水域を有するものをいう。ただし半円の面積より狭いものでも古くから湾と呼ばれていた場合は湾として扱う。大きな湾を海湾gulf,小さい湾を入江(または浦)coveというが,厳密な区別はない。湾口に比して奥行きが小さいものを開湾bight,奥行きが長く外洋水の影響が少ないものを内湾という。氷河で形成された峡湾(フィヨルドfijord),構造運動でできた陥没湾,河谷の沈水でできた沈水湾などがある。湾は外洋の波浪や風を遮り,〈天然の良港〉あるいは避難港として古くから利用されてきたが,後背地が狭いため最近の港湾は沖積平野の海岸を掘り込んでつくることが多くなり,〈人工の良港〉という考え方が強くなった。また三陸沿岸はリアス海岸として多くの湾と港を有するが,津波に対しては大きな被害を生ずることがある。1958年採択された〈領海および接続水域に関する条約〉では(1982年に117ヵ国により署名された〈海洋法に関する国際連合条約〉でも),湾口部に引かれる直線を領海の基線とすることができるが,この湾口閉鎖線は24カイリ以上であってはならない。この場合は湾内に24カイリ以内の直線基線を引くことができるとされている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「湾」の意味・わかりやすい解説


わん
bay

(1) 海が内陸側に入込んだ部分。形状,大きさは多様。成因的には河谷部が沈水したもの,氷食によるもの,火山爆発によるもの (伊豆大島の波浮港) ,構造的なもの (駿河湾) などがある。 (2) 国際法では,湾入の面積が湾口を横切って引かれた線を直径とした半円の面積以上のものをもち,湾口の幅が,24カイリ以下のものとしている。この条件を満たした湾の内側の水域は内水とされる。 (→歴史的湾 )

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