(読み)ウラ

デジタル大辞泉 「浦」の意味・読み・例文・類語

うら【浦】

《「」と同語源で、外海に対して内側の意》
海や湖が湾曲して陸地に入り込んだ所。入り江。
海辺。浜。
[類語]入り江入り海峡湾フィヨルド

ほ【浦】[漢字項目]

常用漢字] [音]ホ(漢) [訓]うら
〈ホ〉水際。海辺。「曲浦
〈うら〉「浦風津津浦浦

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精選版 日本国語大辞典 「浦」の意味・読み・例文・類語

うら【浦】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「裏」と同語源 )
  2. 海、湖などの湾曲して、陸地に入り込んだ所。入り江。湾。
    1. [初出の実例]「玉くしげいつしか明けむ布勢の海の宇良(ウラ)を行きつつ玉藻拾(ひり)はむ」(出典:万葉集(8C後)一八・四〇三八)
  3. 海岸。海辺。浜辺。水際。
    1. [初出の実例]「毀鼻(かきはな)の入鹿魚(いるかうを)既に一浦(ひとウラ)に依れり」(出典:古事記(712)中(兼永本訓))
    2. 「見渡せば花ももみぢもなかりけり浦の苫屋(とまや)の秋の夕ぐれ〈藤原定家〉」(出典:新古今和歌集(1205)秋上・三六三)
  4. 海辺の村里。漁村。浦里。

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日本歴史地名大系 「浦」の解説


なだうら

越中国射水いみず郡氷見町以北の阿尾あお村のじようヶ崎から同郡北端のわき村までと、それに続く能登国鹿島かしま大泊おおとまり(現七尾市)から同郡鵜浦ううら(現同上)観音かんのん崎に至る海岸寄りの地域の総称。能越国境以北を能登灘浦、以南を越中灘浦ともいい、越中灘浦は富山湾に臨む。越中灘浦のうち、富山湾に面した海岸部だけでなく、氷見町以北の八代やしろ谷以東の内陸の村を含めて灘方、あるいは灘浦地区とも称する。氷見町以南の太田おおた(現高岡市)岩崎いわさき鼻に至る海岸が砂浜なのに対し、新第三紀の藪田層(石灰質シルト岩)を中心とする岩浜海岸をなし、特異な景観を呈している。宝達ほうだつ石動せきどう山山地から延びる低山性丘陵の末端部が海岸近くまで迫り、丘陵間の小平坦地に小規模な集落が点在する。南から阿尾村・藪田やぶた村・小杉こすぎ村・とまり村・宇波うなみ村・脇方わきがた村・小境こざかい村・大境おおざかい村・姿すがた村・中田なかた村・中波なかなみ村・わき村の一二ヵ村が連なり、能登国大泊村と国境を接する。海沿いに灘往来(灘道)とも称する浜往来(海浜道)が通り、能州境より氷見町なかノ橋まで四里八町六間(三州地理志稿)

阿尾川(荒山川)下流の阿尾村と宇波川(八代仙川)下流の宇波村を除き、丘陵山地が海岸部に迫るため耕地面積は狭小で、古くより稲作畑作のほか漁業に生活の糧を求めてきた。対馬暖流分流が大きく地先沖へ流れ込み、比較的沖合まで大陸棚が発達していることもあって定置網敷設に適し、台網による鰤や鮪・鰯の水揚げが多い。



うら

中世にみえる五島の浦。江戸時代の魚目村のうち浦村などに相当すると考えられる。文保二年(一三一八)九月一七日の青方高継譲状案(青方文書、以下同文書)に「うら」とみえ、青方あおかた(現上五島町)のうちの地頭職を養子の亀法師丸に譲っているが、その四至のうち北境は「魚目之大道をかきて、うらにふミをとしてゑわけをかきる」というものであった。応永七年(一四〇〇)には有河ありかわ(現有川町)中の篤ら六人が寄合をもって、江袋えぶくろのカマス網代のうち浦とふた河原がわらの網代は一年交替で引くことを定めているが(同年二月九日篤連署押書状案)、この浦が当地かどうかは明らかではない。文安二年(一四四五)青方氏松田氏の相論をめぐって当地を拠点とすると考えられる「うら有」を含む一二名で寄合を行って裁決している(同年一一月一九日日向守佐等連署押書状案)



いわしうら

中世よりみえる五島の浦。現奈良尾町の岩瀬いわせ浦に比定される。嘉暦二年(一三二七)閏九月二九日の白魚盛高和与状案(青方文書)に「いわしたけ」とみえ、西浦部にしうらべのうち下浦部をめぐる白魚盛高と青方高継との相論の和解が成立し、当地などをもって境と定められており、鎮西探題も「伊和志嶽」などを境界とすることを認めた(元徳元年九月二五日「鎮西下知状案」同文書)

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普及版 字通 「浦」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 10画

[字音]
[字訓] うら・はま

[説文解字]

[字形] 形声
声符は甫(ほ)。〔説文〕十一上に「水(すいひん)なり」とあり、水涯をいう。はのち濱(浜)に作る。みな水涯の神事を行うところで、〔楚辞、九歌、湘君〕「陽(しんやう)を極浦にむ」、張衡の〔思玄の賦〕「洛浦の妃(ふくひ)を召す」など、水神祭祀のとき、神を浦に迎えることを歌うものが多い。

[訓義]
1. うら、はま、水のほとり。
2. 水の合流するところ、水がそそぎ入るところ。

[古辞書の訓]
和名抄〕浦 宇良(うら) 〔字鏡集〕浦 ウラ・ホラ

[声系]
〔説文〕に浦声としての一字を収める。は水草。浦と声義の関係があるかもしれない。

[語系]
浦phaは埠・(歩)baと通じ、埠(ふ)は舟つき場、は水涯をいう。また(頻)・bien、濱pien、邊(辺)pyenも声義の関係があると考えられ、すべて際涯のところをいう。その地は霊を迎え、霊を送るところであった。水神祭祀の歌謡には、浦に水神を迎えることをいうものが多い。

[熟語]
・浦海・浦月・浦口・浦嶼・浦帆・浦辺・浦湾
[下接語]
烟浦・遠浦・海浦・曲浦・極浦・江浦・沙浦・州浦・秋浦・春浦・嶼浦・浦・浦・夜浦・浦・湾浦

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改訂新版 世界大百科事典 「浦」の意味・わかりやすい解説

浦 (うら)

地形的には湾状になっている海岸を指すことが多いが,浦役浦百姓などという用語が示すように,近世においては,漁村一般を指すことばとして用いられた。この場合,浦百姓とは,地方(じかた)百姓(純農民)に対するものとして,純漁民あるいは半漁半農民を意味し,浦役は,これら浦百姓に対して課せられた賦役あるいは小物成を意味する場合と,浜がかりや浜役と同様に浦(漁村)における漁業の監督者をさす場合とがある。
浦・浜
執筆者:

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「浦」の解説


うら

地形的には海や湖を抱えこむかたちで湾曲した場所。前近代では漁村一般をさした。古代には王権に直属する贄人(にえひと)・海人部(あまべ)が浦や浜の魚介を贄として貢納。中世にはその系譜をひく供御人(くごにん)や神人(じにん)が供御・供祭(ぐさい)を貢納しながら,浦・浜の地先水面の漁場を共同開発して,魚介類の特権的な販売に従事した。近世ではとくに領主に対して浦役を勤める漁民を浦百姓,またその漁村を漁業権のある浦(浦方)と認定し,地方(じかた)の百姓・村と区別した。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【漁村】より

…主として水産業およびその関連産業に従事している人々によって構成されている村落。浦とか浜とも呼ばれる。従事する漁業が海面漁業であるか,内水面漁業であるかによって,海岸漁村,河川漁村,湖沼漁村などの種別がある。…

※「浦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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