バルビツール酸系催眠鎮静剤(読み)バルビツールサンケイサイミンチンセイザイ

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 の解説

バルビツール酸系催眠鎮静剤

製品名
《アモバルビタール製剤》
イソミタール(日本新薬)
《ペントバルビタールカルシウム製剤》
ラボナ(田辺三菱製薬

 大脳脳幹など、中枢神経全体のはたらきを抑えて眠りに導く睡眠剤です。精神的な不安、緊張を鎮める作用ももつので、鎮静剤として使用されることもあります。また、けいれんを止める抗けいれん作用や痛みを止める麻酔作用をあわせもつ薬もあります。


 不眠の治療、精神的な不安緊張の解消に使われますが、おもに、ベンゾジアゼピン系催眠鎮静剤では効かない場合(内臓の病気や重症の精神疾患などによる不眠)に一時的に使うのが原則です。


 バルビツール酸系催眠鎮静剤の中では効果が強力で、熟眠作用(長い時間眠れるようにする作用)があり、効果が現れるのも速い(20~30分で熟眠)薬です。


①過敏症状(発疹ほっしん、かゆみ、発熱などのアレルギー症状)、皮膚粘膜眼症候群(皮膚や粘膜の水疱、結膜充血、発熱など)、薬物依存がおこることがあります。このような症状がおこったら使用を止め、すぐ医師に相談してください。


 連用中に使用量の急激な減少や中止によって、薬物依存、退薬症候(あくび発汗嘔吐下痢、不眠、不安、けいれんなど)がおこることがあります。このような症状がおこったら使用を止め、すぐ医師に相談してください。


②薬によって、知覚の低下や過敏、発音障害、精神活動の低下、運動失調(手足の動きが不自由になる)などの精神神経症状、骨軟化症がおこることがあります。このような症状がおこったときは、医師に相談してください。


めまい、頭痛、食欲不振、吐き気嘔吐おうとなどがおこることがあります。このような症状がおこったら医師に相談してください。


④長期間続けて使用(連用)していると、じん障害(ポルフィリン尿症、蛋白尿たんぱくにょう)、貧血、薬物依存がおこることがあります。


錠剤粉末で、1日の使用回数と使用する時間・1回の使用量については指示をきちんと守り、かってに中止・減量・増量しないでください。催眠剤として使用するときは、就寝直前に使ってください。


②あらかじめ問診の際に、持病・アレルギーなどの体質・現在使用中の薬の有無を医師に報告するとともに、使用前に薬の効果と副作用について医師・薬剤師からよく説明を聞き、注意事項をきちんと守ってください。


 過去にバルビツール酸系催眠鎮静剤で過敏症をおこしたことのある人は使用できません。また心臓障害・肝臓障害・腎臓障害・ポルフィリン症・頭部外傷後遺症や脳動脈硬化症といった病気がある人、脳や血管に障害がある人、アルコール依存症の人、薬物依存の傾向のある人、またはその既往歴のある人、重い神経症の人、過去にほかの薬を使用して過敏症状をおこしたことがある人、呼吸機能が低下していたり、衰弱している人は、必ず医師に報告してください。


③長期間使用していて急に中止すると、とくに高齢者に、不安・不眠・けいれん・倦怠感けんたいかんなどが現れます。医師は徐々に使用量を減らしていって中止する方法をとるはずですから、医師の許可が出るまで使用を続けてください。


④連用していると薬の効力が低下して、増量しないと効果がなくなったり、薬の使用をやめられなくなる薬物依存が生じます。使用中止の指示が出たら、必ず守ってください。


⑤薬の効果と副作用出現の有無をチェックするために、医師から指示された検査は必ず受けてください。


⑥副作用として、めまいがおこったり、効果が翌日まで持ちこされて、体がふらつくことがありますので、自動車の運転、危険を伴う作業などは避けてください。


⑦妊婦、現在妊娠している可能性のある人、母乳で授乳中の人はあらかじめ医師に伝えてください。


⑧現在ほかの薬を使っていたり、この薬を使用中にほかの薬を使用する必要が生じたときは、必ず医師に相談してください。とくに抗不安剤、ほかの催眠鎮静剤、抗うつ剤抗精神病剤、抗ヒスタミン剤〔かぜ薬などに配合される消炎剤〕、解熱鎮痛剤非ステロイド抗炎症剤チアジド系降圧利尿剤、抗凝血剤のワルファリンカリウム製剤ラモトリギン製剤デフェラシロクス製剤などと併用すると、それらの薬の副作用がおこりやすくなります。


⑨飲酒によって、薬が効きすぎて副作用や離脱症状がおこりやすくなります。服用中は禁酒を守ってください。

出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報

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