日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブランネル石」の意味・わかりやすい解説
ブランネル石
ぶらんねるせき
brannerite
ウランの鉱石鉱物の一つ。1920年原産地アメリカのアイダホ州ケリー・ガルチKelly Gulchから採集されたときは、野外では閃ウラン鉱(せんうらんこう)と同定されたが、すぐにチタンの複酸化物であることが判明し、最終的には合成物との対比からUTi2O6という化学式が決定された。このいきさつを伝えるため、アメリカ国立博物館に保存されている標本には、Uraninite(閃ウラン鉱)と書かれた原ラベルが添えられたままになっている。
最初は砂金鉱床の副産物として、次いで花崗(かこう)岩質ペグマタイト中から発見され、その後南アフリカ共和国で含金礫(れき)岩として採掘されている金鉱石の、異常に高い放射能の根源がこの種であることが明らかにされた。同様の礫岩はカナダでも発見されている。自形は不明瞭(ふめいりょう)な斜方柱状であるが、まれ。多く粒状。これらのほかにも、ある種の片麻岩中や高温熱水鉱脈鉱床中に含まれる。日本では鹿児島県甑島(こしきじま)から微量を産する。命名はアメリカの地質学者ブランネルJohn Casper Branner(1850―1922)にちなむ。
[加藤 昭]