ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブロニャール」の意味・わかりやすい解説
ブロニャール
Brongniart, Alexandre
[没]1847.10.7. パリ
フランスの鉱物学者,地質学者,博物学者。初めパリ中央学校の自然史の教授であったが,1800年にセーブル磁器の工場責任者となり,1822~47年パリにある国立自然史博物館の教授を務めた。古生物(→古生物学)にも関心が深く,三葉虫類や爬虫類の系統分類をしたほか,パリ周辺のチョーク層に続く新しい地層を初めて第三紀と定義した(→古第三紀,新第三紀)。さらにジョルジュ・L.C.F.D.キュビエとともにパリ盆地含化石層を研究し,ウィリアム・スミスとほぼ同時期に,化石による地層同定法を見出した。また,フランスの磁器工芸にも多大な貢献をし,セーブル磁器をヨーロッパの代表的な磁器に発展させた。主著に,ライフワークともいうべき "Traité des arts céramiques"(1844)がある。
ブロニャール
Brongniart, Adolph-Théodore
[没]1876.2.18. パリ
フランスの古植物学者。 C.ダーウィンの進化論が発表される以前に,植物種間の類縁関係についてすぐれた見解を明らかにし,植物系統発生学の基礎をおいた。 1833年パリの国立自然史博物館教授。古生代の植物を研究し,古生代のシダ類と現生のものを比較したり,内部構造のうえから,ロボクをトクサ類に,リンボクをヒカゲノカズラ類に入れるなど,すぐれた古植物学的研究を行なった。彼は種を不変のものと考えていたが,他方,現代の系統発生にも類似する類縁関係を植物の間に認めていた。植物界を葉体植物,細胞性隠花植物,維管束隠花植物,裸子植物,単子葉顕花植物,双子葉顕花植物の6つのグループに分けている。裸子植物を独立のグループと認めている点などに特徴がみられる。ただし,博物館の標本を分類した際 (1843) には,自分の分類法は捨てて,A.ド・カンドルの分類法を採用している。ブロニャールの分類法は,後年,A.アイヒラーや A.エングラーが進化論に基づいた分類体系を構築するための下地を準備することとなった。
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