春の祭典(読み)ハルノサイテン

デジタル大辞泉 「春の祭典」の意味・読み・例文・類語

はるのさいてん【春の祭典】

原題、〈フランスLe Sacre du Printempsストラビンスキー作曲のバレエ音楽。1913年パリで初演。ロシアの異教時代の祭りを描く。

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精選版 日本国語大辞典 「春の祭典」の意味・読み・例文・類語

はるのさいてん【春の祭典】

  1. ( 原題[フランス語] Le sacre du printemps ) バレエ音楽。ストラビンスキー作曲。一九一三年パリで初演。二部一四曲からなりキリスト教伝来以前の古代ロシアの大地と太陽神賛美主題に、強烈なリズム、大胆な和声使用、ひんぱんな拍子交替などの手法で、現代音楽の記念碑的作品となった。

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百科事典マイペディア 「春の祭典」の意味・わかりやすい解説

春の祭典【はるのさいてん】

ストラビンスキー作曲のバレエ音楽。20世紀音楽の方向を決定づけた作品の一つ。《大地の賛美》と《犠牲》の2部14曲からなる。台本は作曲者自身とニコライ・レーリヒ(美術も担当)で,古代ロシアの異教徒儀式を描いたもの。1913年ニジンスキー振付,モントゥー指揮,〈バレエ・リュッス〉によりパリで初演され,その大胆な不協和音とリズムで歴史的なセンセーションを巻き起こした。その後さまざまな再振付が試みられ,マシン(1920年),ベジャール(1959年),マクミラン(1962年),ノイマイヤー(1972年),バウシュ(1975年),グレアム(1984年)などが作品を残している。なお,ニジンスキーの振付は長い間忘れ去られていたが,バレエ史研究家M.ホドソンと美術史研究家K.アーチャーの研究成果を基に,レーリヒの美術の再現も含めて,1987年米国のジョフリー・バレエ団復元上演した。
→関連項目マリピエロ

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改訂新版 世界大百科事典 「春の祭典」の意味・わかりやすい解説

春の祭典 (はるのさいてん)
Le sacre du printemps

ストラビンスキーの作曲したバレエ音楽で,《大地の賛美》と《犠牲》の2部14曲からなる。ストラビンスキーとN.レーリヒによるバレエの筋書は,ロシアの異教徒が,春の神の心を静めるために一人の処女を犠牲者にするというもの。1911年から13年にかけておもにスイスのクラランで作曲され,13年5月29日パリのシャンゼリゼ劇場のバレエ・リュッスの公演で,ニジンスキーの振付,P.モントゥーの指揮によって初演され,20世紀音楽史上最も有名なセンセーションを巻き起こした。膨大な編成のオーケストラが,複調や無調による激しい音響をつくり出し,拍子が,3/16,5/16,4/16と小節ごとに変化して複雑なリズム構造を生み出す。ディズニーが1941年の《ファンタジア》の映画音楽としてこの作品を使い,第2次大戦後に,一般のオーケストラの重要なレパートリーとして定着した。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「春の祭典」の意味・わかりやすい解説

春の祭典
はるのさいてん
Le Sacre du Printemps

ストラビンスキー作曲のバレエ音楽。ロシア・バレエ団のディアギレフの依頼による。第一部「大地礼讃(らいさん)」と第二部「いけにえ」の二部14曲からなり、母国ロシアの大地と太陽神を賛美した土俗的かつ異教的な内容をもつ。太陽神に処女を生贄(いけにえ)として捧(ささ)げる太古の儀式を舞踊で表現したもので、音楽的には、リズムのもつ原始的なエネルギーをなまのまま表現したところに大きな特徴がある。これはいわば高度に複雑化した芸術を破壊する挑戦の意味をもち、1913年、ニジンスキー振付けによるパリのシャンゼリゼ劇場での初演は、非難と称賛の嵐(あらし)を巻き起こした。ストラビンスキーの代表作であると同時に、20世紀音楽のもっとも重要な作品の一つに数えられる。

[三宅幸夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「春の祭典」の意味・わかりやすい解説

春の祭典
はるのさいてん
Le Sacre du Printemps

2幕のバレエ。台本 I.ストラビンスキー,N.レーリヒ。音楽ストラビンスキー。振付 V.ニジンスキー。 1913年 S.ディアギレフのバレエ・リュスによって初演。不協和音を大胆に採用した音楽と複雑で不調和な動きによる振付が会場に大騒動を巻起した,20世紀最大の革新的作品。古代ロシアの春の原野を舞台に,大地と太陽の神への賛美と崇拝を絵画的に描いたもので,大地礼賛と,太陽神イアリロに処女を捧げるいけにえの儀式の2部から構成される。のちに L.マシーン,M.ベジャールらによる改訂版が多数生れ,オリジナル版は伝説のものとなっていたが,87年ジョフリー・バレエ団によって復元上演され,パリ・オペラ座のレパートリーともなった。

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デジタル大辞泉プラス 「春の祭典」の解説

春の祭典

①ロシア生まれの作曲家イーゴリ・ストラヴィンスキーのバレエ音楽(1913)。原題《Le sacre du printemps》。ヴァーツラフ・ニジンスキーの振付により初演された。『火の鳥』、『ペトルーシュカ』とともにストラヴィンスキーの三大バレエ音楽の一つとして知られる。
②ロシアの舞踊家・振付家ヴァーツラフ・ニジンスキーによるバレエ(1913)。原題《Le sacre du printemps》。初演はディアギレフ率いるバレエ・リュス。古代ロシアの春の儀式を題材とした作品。①を音楽に使用。ほかに、モーリス・ベジャール、ピナ・バウシュの振付による版が知られる。

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世界大百科事典(旧版)内の春の祭典の言及

【カルペンティエル】より

…1928年から39年に至るフランス生活の中で,ブルトン,アラゴン,ペレ等々のシュルレアリストと接触して,彼らの求める〈驚異的なもの〉がラテン・アメリカでは文字どおり現実の中に遍在しているという認識に到達,これを〈驚異的なる現実〉と名づけると同時に,この理論に基づいて《エクエ・ヤンバ・オー》(1933)を皮切りに,長く実り豊かな創作活動を開始する。原始楽器を求めてオリノコ川を遡行する音楽家の旅に託して新大陸の生の複合的性格を明らかにする《失われた足跡》(1953),カリブ海域にも波及した大革命の結果を丹念に追った《光の世紀》(1962),啓蒙的な独裁者の優雅な日々と惨めな末路をたどった《方法再説》(1974),第1次大戦,スペイン内戦,メキシコ革命,キューバ革命という歴史的事件と絡めて一族の波乱の運命を語った《春の祭典》(1978),コロンブスの祝聖をめぐる物語《ハープと影》(1979)などが代表作。ほかにも中編に《追跡》(1956),《亡命権》(1972),《バロック協奏曲》(1974)があり,短編に《時との戦い》(1958)があり,さらに多数の音楽関係の著作がある。…

※「春の祭典」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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