ベーン(その他表記)Vane, Sir Henry

デジタル大辞泉 「ベーン」の意味・読み・例文・類語

ベーン(Aphra Behn)

[1640~1689]英国初の職業女流作家。作品に小説「オルノーコ」などがある。夏目漱石の小説「三四郎」にその名がみえることで知られる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベーン」の意味・わかりやすい解説

ベーン
Vane, Sir Henry

[生]1613.5.26. エセックス
[没]1662.6.14. ロンドン
イギリス政治家。同名の H.ベーンの長男清教徒で,1635年ニューイングランドに渡り,37年帰国。 39年海軍財務官。 40年短期議会,長期議会の議員に選出され,ストラッフォード (伯)弾劾を支持し,スコットランドとの同盟交渉にあたり,J.ピム死後,彼に代って議会派の指導者として活躍。共和制時代の国務会議の一員に選ばれた (1649) が,軍の議会に対する処置に反対して O.クロムウェルと対立し,53年引退。 56年言論活動のゆえに投獄されたが,59年議会に復帰し,R.クロムウェルの護国卿政治打倒に参加。王政復古後投獄され,処刑された。

ベーン
Behn, Aphra

[生]1640頃
[没]1689.4.16. ロンドン
イギリスの劇作家小説家。夫の死後,文筆活動を始め,イギリス最初の女性職業作家となった。『強制結婚』 The Forced Marriage (1670) ,『漂泊者』 The Rover (2部,77,81) など,王政復古期特有の猥雑な喜劇を発表。代表作は小説『オルーノーコー』 Oroonoko (88) で,18世紀に隆盛する小説ジャンルの最も重要な先駆となった。黒人奴隷主人公にしたロマンチックな物語で,「高貴な野蛮人」の観念文学に導入した早い例でもあり,後世の作家に大きな影響を与えた。

ベーン
Vane, Sir Henry

[生]1589.2.18. ケント,ハドロー
[没]1655.5. ロンドン
イギリスの政治家。国王チャールズ1世の信任を得て,1630年枢密顧問官,40年国務大臣。初めは王と議会の調停に努めたが,41年ストラッフォード (伯)の弾劾に加わり,解職されると議会派に投じ,53年護国卿の議会にも選出された。

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改訂新版 世界大百科事典 「ベーン」の意味・わかりやすい解説

ベーン
Aphra Behn
生没年:1640-89

イギリスの女性劇作家,小説家。オランダ人の商人と結婚したが,まもなく死別し,生計の糧を求めて文筆生活に入り,文壇で名を成した。小説は筋の構成が巧みで,描写が写実的で読者に迫るものがあり,デフォーの手法に比べられる。代表作《オルーノーコー》(1688)は,奴隷問題を扱ったもので,子どものとき数年を過ごした南アメリカのスリナムでの滞在経験が素材となっている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベーン」の意味・わかりやすい解説

ベーン
べーん
Aphra Behn
(1640―1689)

イギリスの女流劇作家、物語作家。幼少のころ南米スリナムや西インド諸島で育ち、長じてイギリスで商人と結婚。スパイになったり、借金で投獄されるなど多彩な経験を経て、イギリス最初の職業的女流作家となる。劇作では『漂泊者』(1677)、長編物語では『オルーノコ』(1688)が知られる。後者は、奴隷となったアフリカ王子「高貴な野蛮人」の物語。

[榎本 太]

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