ぽっくり死,原因不明の急性心臓死あるいは青壮年急死症候群ともいわれている。解剖検査を行っても死亡原因の不明な,青壮年の急死を指す。日本において,第2次世界大戦後に監察医務院制度が実施されるようになって,原因不明の急死例がかなりあることが判明し,これにぽっくり病の名がつけられた。外国でも同様のものがあると報告されているが,症例は少ないようである。ぽっくり病はほとんど20歳代から30歳代の青壮年にみられ,男性に圧倒的に多く,女性の14倍である。5~7月に多発し,夜間に多く,午前0~6時,とくに午前2~4時に集中して発生するものである。死亡の経過は,突然にうなり声を発したり,痙攣(けいれん)がみられたり,異常な呼吸状態がみられたのちに急死するという。発作時に揺り起こされ,〈恐ろしい夢を見た〉といって,再び眠り,死亡した例もあるという。死亡の原因としては,一種の急性心機能不全とされてきたが,心停止よりも呼吸停止が先行する窒息であるという説もある。現在のところ,死亡の原因は解明されておらず,原因不明の内因性急死のなかにはいるものである。ぽっくり病によくみられる死体所見としては,胸腺の肥大,心臓の肥大,大動脈起始部の幅の狭小,冠状動脈の発育異常,副腎皮質の厚さが薄いことなどがあるが,これらの所見もなく,溢血点(いつけつてん),血管内血液の流動性,内臓の鬱血(うつけつ)といった,単なる急死の所見のみのこともある。この青壮年にみられるぽっくり病に対応して,乳幼児の原因不明の内因性急死があり,乳幼児急死症候群といわれている。
→急死
執筆者:小嶋 亨
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一見健康そうな、しかも体格、栄養ともに良好な比較的若年者の男性が、深夜から明け方にかけて特別の原因がなくて急死することがある。しかも、その際にうめき声をあげることが多いといわれている。これがポックリ病、または青壮年急死症候群とよばれるものである。このポックリ病は、異常死体を多数剖検している東京都監察医務院で最初にいいだされたもので、外国では、フィリピンの田舎(いなか)でバングングットbangungutとよばれているものがこれに該当するともいわれている。剖検所見では、とくに死因となるような異常が認められないのが特徴で、自律神経失調、脳機能障害、ホルモン失調などの原因があげられるが、まだ定説はない。最近では、酸欠による心筋の壊死(えし)によるという説も報告されるようになった。
[船尾忠孝]
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