メモリアル(英語表記)Memorial

デジタル大辞泉 「メモリアル」の意味・読み・例文・類語

メモリアル(memorial)

何かを記念したもの。「メモリアルコンサート」

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共同通信ニュース用語解説 「メモリアル」の解説

メモリアル

ロシアの人権団体。人権活動でノーベル平和賞を受けた故アンドレイ・サハロフ博士らが中心となり1987年にモスクワ前身団体を発足。89年に地方組織を統合した。スターリン時代に迫害された人々の名誉回復が活動の原点。ソ連時代の政治弾圧や、ソ連崩壊後にロシア軍が南部チェチェン共和国で実施した独立派武装勢力の掃討作戦などによる犠牲者の資料を記録し、人権擁護を訴えてきた。(共同)

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精選版 日本国語大辞典 「メモリアル」の意味・読み・例文・類語

メモリアル

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] memorial ) 人や事件を記念するもの。記念物記念碑記念祭など。〔外来語辞典(1914)〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メモリアル」の意味・わかりやすい解説

メモリアル
Memorial

ロシアの人権団体。ソビエト連邦時代の人権侵害を記録し,連邦崩壊後の民主化移行に大きな役割を果たした。2022年,ベラルーシの人権活動家アレシ・ビャリャツキウクライナの人権団体市民自由センターとともに,ノーベル平和賞(→ノーベル賞)を受賞したが,ウラジーミル・プーチン政権により非合法化された。
1987年8月,「ソビエト弾圧犠牲者の記憶を守る会」としてモスクワに発足(同様のグループがソ連各地でも発足する)。当時の最高指導者ミハイル・ゴルバチョフによる「グラスノスチ」政策下,犠牲者の記録保存と名誉回復を行なう活動を開始した。翌 1988年には 1975年のノーベル平和賞受賞者アンドレイ・サハロフ博士が初代委員長に就任した。1989年,いくつかの組織と合併して全ソ連自主歴史教育メモリアル協会 All-Union Association for Voluntary History Education Memorialとなり,スターリン体制下の罪や悪しき遺産を清算するだけではなく,国際的な人権擁護も訴え,最初の公開行動としてモスクワの中国大使館前で天安門事件への中国政府の対応を批判した。ソ連解体後は弾圧犠牲者のリハビリテーションに関する法律の起草にかかわったほか,1990年代を通じて北カフカス地域やチェチェン共和国での紛争(→チェチェン紛争)における人権侵害を監視した。このほか,強制収容所や国家保安委員会 KGB,KGBの前身である内務人民委員部 NKVDの活動の詳細を,出版物や博物館での展示を通じて明らかにした。2003年には 130万人以上の犠牲者のデータベースを公開した。
プーチンが政権につくと,メモリアルの影響力をそぐ措置がとられるようになり,メモリアル側もまた,プーチンに批判的な石油王ミハイル・ホドルコフスキーが政治的動機により投獄されたことに抗議する集会を 2007年に主催して以降,対決姿勢を鮮明にした。2013年,ロシア連邦議会は外国の資金援助を得ながら政治活動を行なう非政府組織 NGOを「外国の代理人エージェント)」として登録を義務づける法案を可決した。メモリアルは,「外国の代理人」とは冷戦時代の「外国のスパイ」を意味するものだと主張して登録を拒否,翌 2014年にはロシア司法省により組織の閉鎖を求める訴訟を起こされ,最高裁判所は 2021年にメモリアルに解散を命じた。2024年2月,ロシアによるウクライナ侵攻を批判したメモリアルの幹部の一人,オレグ・オルロフが「軍の信用を失墜させた」ことを理由に収監されたが,同 8月,アメリカ合衆国とロシアによる受刑者交換が行なわれ,オルロフはアメリカ人のエバン・ガーシュコビッチ記者らとともに釈放された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「メモリアル」の意味・わかりやすい解説

メモリアル(人権団体)
めもりある
Memorial

ロシアの人権団体。旧ソ連時代から、一貫して政治弾圧や人権侵害の歴史を掘り起こし、記録・告発する人権擁護活動を展開。ロシアがウクライナに侵攻した2022年に、ノーベル平和賞を受賞した。授賞理由は「長年にわたり権力を批判するとともに、基本的人権を守る活動に取り組み、戦争犯罪、人権侵害、権力の濫用を記録するために並はずれた努力を重ねてきた」ことであり、さらに、「軍国主義との闘い、人権の確立や法の支配に基づく政府の実現を推進する取組みの最前線にたってきた」と称揚された。ウクライナ侵攻2か月前の2021年12月、ロシア最高裁判所から解散を命じられたが、団体メンバーは名前を変えるなどしながらロシア内外で活動を続けている。なお、ロシア関連でのノーベル平和賞受賞は、プーチン政権批判を続けるジャーナリストのムラートフから2年連続。

 メモリアルは旧ソ連時代の1987年、ノーベル平和賞受賞者で物理学者のA・サハロフらが発起人となって創設。スターリン時代の粛清など、隠された人権弾圧の歴史を掘り起こす活動からスタートし、収容所に送られるなど迫害された人々の名誉回復や、政治囚の名簿の作成、さらに弾圧された人々がヨーロッパ人権裁判所に訴える動きなどを支援したほか、難民や国内避難民の支援、教育、慈善活動にも取り組み、ロシア最大の人権団体となった。本部をモスクワ、支部をウラル、シベリアなどに置き、ウクライナ、ドイツなど海外にも拠点をもつ。1994年に起きたチェチェン紛争では、ロシアや親ロシア派による市民の虐待や戦争犯罪を検証したが、チェチェンで活動中のメモリアル活動家が2009年に殺害された。ムラートフが編集長を務めた独立系リベラル紙とも協力し、プーチン政権への批判を続けたため、2016年、ロシア当局から、スパイと同義の「外国の代理人(エージェント)」に指定され、2021年に解散させられた。解散後も、メンバーはSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)サイトに、「完全な人権センター2.0」などのアカウントを開設し、情報発信を続けている。ノーベル平和賞は、ウクライナの人権団体の市民自由センター(CCL)、ベラルーシの人権活動家ビャリャツキとの共同受賞であった。

[矢野 武 2023年2月16日]

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