五十音図第7行第4段の仮名で、平仮名の「め」は「女」の草体から、片仮名の「メ」は「女」の初めの2画からできたものである。万葉仮名には甲乙2類あって、甲類に「賣、馬、面、迷、謎、綿(以上音仮名)、女(訓仮名)」、乙類に「米、昧、梅、妹、毎(以上音仮名)、目、眼(以上訓仮名)」などが使われた。ほかに草仮名としては「(女)」「(免)」「(面)」「(馬)」「(目)」「(妻)」などがある。音韻的には/me/で、両唇を閉じた唇内鼻音の[m]を子音にもつが、「せみ―せび(蝉)」「つめたい―つべたい(冷)」などのように、語によっては[b]と子音交替する場合もある。上代では甲乙2類に仮名を書き分けるが、これは当時の音韻を反映したものと考えられる。
[上野和昭]
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