日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラッスス」の意味・わかりやすい解説
ラッスス
らっすす
Orlandus Lassus
(1532―1594)
フランドルの作曲家。フランス語でオルランド・ド・ラッシュOrlande de Lassus、イタリア語でオルランド・ディ・ラッソOrlando di Lassoとよばれることも多い。フランドルのモンスに生まれ、早くからイタリアに出てナポリ、ローマなどで活躍、一度フランドルに戻ったあと、1556年からミュンヘンのバイエルン公の宮廷音楽家となり、63年には楽長に就任して、死ぬまでミュンヘンの宮廷で活躍した。ラッススは後期フランドル楽派最大の作曲家で、パレストリーナとともに後期ルネサンスを代表する巨匠である。作品の総数は2000曲を超え、ミサ曲、モテトゥス、マニフィカトなど多くの種類からなる宗教曲の分野では、ルネサンスの伝統的な様式によりながら、劇的な感情表現を示している曲も多くみられる。また多声世俗歌曲の分野では、マドリガーレをはじめとするイタリア語世俗歌曲、フランス語によるシャンソン、ドイツ語による多声リートなど、多彩な創作活動を行った。
[今谷和徳]