ラロシュフコー(読み)ラロシュフーコー(その他表記)François, duc de La Rochefoucauld

デジタル大辞泉 「ラロシュフコー」の意味・読み・例文・類語

ラ‐ロシュフーコー(François de La Rochefoucauld)

[1613~1680]フランスモラリストフロンドの乱参加代表作箴言しんげん」で人間性の鋭い分析を的確に表現した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラロシュフコー」の意味・わかりやすい解説

ラ・ロシュフコー
らろしゅふこー
François, duc de La Rochefoucauld
(1613―1680)

フランスのモラリスト。名門貴族の嫡子としてパリに生まれる。初め軍務につくが、ルイ13世の妃アンヌ・ドートリッシュを中心とする一派の、宰相リシュリューに反抗しようとする陰謀に加担して以来、旧貴族勢力の代表者の一人となる。フロンドの乱の渦中にあっても反軍の指揮をとり、1649年、パリ城外の戦いではのどに重い銃創を負った。

 反軍敗北ののち政治的野心を裏切られた失意の身をパリの名流サロンに現し、『回想録』(1662)を執筆するかたわら、セビニェ夫人ラファイエット夫人らと親しく交わり、とくにサブレ夫人Marquise de Sablé, Madeleine de Souvré(1599―1678)のサロンで、当時社交界の流行であった格言を書きつづり、仲間に披露しては訂正を加え、練り上げた。こうして彼の名を文学史上に不朽なものとする『箴言(しんげん)集』(1664~1678)が生まれた。

 頼みがたい人心の虚実をつぶさに体験した著者の目は終始一貫、辛辣(しんらつ)かつ厭世(えんせい)的で、あくまで鋭く偽善を暴く。「われわれの美徳はもっともしばしば偽装された悪徳にすぎない」のであり、人間の営為はあらまし一皮むけば利己心と自愛心の動機が透けてみえるというのが、このペシミストの根本思想である。実人生における政治家としての挫折(ざせつ)と、死後、今日に至るまでの文人としての名声との対照がこれほど顕著な人物も少なく、『箴言集』の1978年刊批評版の刊行者ジャック・トリュシェJacques Truchet(1921―1998)は、その序文でボードレールの『悪の華』の序詩「読者へ」の最終行「偽善の読者よ、わが同類、わが兄弟よ」を、この峻厳(しゅんげん)な格言作家に結び付けて想起している。

[山田  2015年6月17日]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ラロシュフコー」の解説

ラ・ロシュフコー
François, duc de La Rochefoucauld

1613~80

フランスのモラリスト。フロンドの乱に参加し重要な働きをしたが,戦闘で一時失明してからは,サロンに出入りして,人間感情の機微を短い歯切れのよい言葉で表現した『箴言』(しんげん)を書いた。

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