ランドセル(読み)らんどせる

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ランドセル」の意味・わかりやすい解説

ランドセル
らんどせる

小学生児童が使う通学用かばんのこと。オランダ語のランセルranselがなまったもので、「背嚢(はいのう)」ともよばれる。その起源については、明治時代の陸軍大将乃木希典(のぎまれすけ)が発案したとか、大正天皇学習院に入学する際、伊藤博文(ひろぶみ)が献上したなど諸説がある。日本では最初陸軍で使用されたが、1897年(明治30)ごろに現在使われているような形になり、当初上流の子弟が使っていたものがしだいに全国に普及して、いまでは入学用品の代表的なものとなっている。

 外国では14か国が決まった形の通学用かばんを使用しているが、日本と同じような背負い式は韓国、イギリス、ノルウェー、手提げ式はロシア、インド、ブラジルアルゼンチン兼用はフランス、ドイツ、イタリア、ショルダー式は中国、シンガポールなどで使われている。

 材質には天然皮革合成皮革(織布または編布を起毛した基布の上に合成樹脂を塗布したもの)、人工皮革(熱収縮性のある合成繊維の不織布層に膜状に成形した合成樹脂層を貼(は)り合わせたもの)がある。天然皮革はじょうぶで変形しにくく、修理も可能である。また人工皮革も軽くてじょうぶ、雨に強いなど、天然皮革と比べて使用上大差ないため、半々ぐらいに使われている。合成皮革は軽くて雨にも強いが、修理がややむずかしい。

 標準サイズとしては、幅23センチメートル、高さ27センチメートル、重さ0.8~1.2キログラムぐらいで、厚みは中の襠(まち)などにより異なる。選ぶときには、かならず子供に背負わせて体にぴったりしたものであること、また縫製表示などをよく確認して購入することがたいせつである。

[阿部絢子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ランドセル」の意味・わかりやすい解説

ランドセル

オランダ語の ransel (背嚢) が転訛した言葉。小学生が学用品を入れ,通学用に背負うかばんのこと。明治の中期,大正天皇の学習院入学にあたって,伊藤博文が献上したものに始るといわれる。その後,学習院で全生徒用に採用し,さらに一般に普及した。材料としては皮革,ビニル,布などが用いられる。

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