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市民社会 しみんしゃかい civil society

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

市民社会
しみんしゃかい
civil society

近代において,封建的社会体制から解放され自由と平等を獲得した自立的個人である市民によって成り立つ社会。本来は西ヨーロッパにおける市民革命 (ブルジョア革命) によって成立した社会をさす。

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デジタル大辞泉の解説

しみん‐しゃかい〔‐シヤクワイ〕【市民社会】

市民階級が封建的身分制度土地制度を打倒して実現した近代社会。法律の前での万人の自由と平等の保障を基礎として成立している。

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百科事典マイペディアの解説

市民社会【しみんしゃかい】

市民革命ののちに成立し,国民主権による近代国家を構成する社会。第2次大戦以後,歴史学や社会科学において使われるようになった新しい概念である。ブルジョアジーが主導権を握り,産業資本主義とともに発展し,自由主義が支配的なイデオロギーとなる。
→関連項目産業革命市民

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世界大百科事典 第2版の解説

しみんしゃかい【市民社会】

日本の歴史学や社会科学において,通常,civil society,bürgerliche Gesellschaft(ドイツ語),société civile,société bourgeoise(ともにフランス語)などの訳語として使われている用語。〈市民階級〉〈市民革命〉〈市民法〉〈市民的自由〉などとともに,近代のヨーロッパ社会の特質を認識し指示するために考案され,第2次大戦後,とくに有力になった概念の一つである。

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大辞林 第三版の解説

しみんしゃかい【市民社会】

自由・平等な個人が、自立して対等な関係で構成することを原理とする社会。封建的な身分制度を打破した市民革命によって成立した社会。ブルジョア社会。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

市民社会
しみんしゃかい
civil society英語
brgerliche Gesellschaftドイツ語
socit civileフランス語

市民社会という語は、もっとも広くは、市民たちで構成される社会という意味で用いられるが、その場合の市民という語の内容は、歴史的にみてさまざまである。たとえば、古典古代ポリスの構成員も市民とよばれ、中世都市の構成員も市民とよばれている。しかし、古代のポリスや中世都市を市民社会とはいわない。したがって、市民社会という語は、近代に特有な市民社会、つまり、近代市民たちで構成される社会という、歴史的に限定された意味で用いられる。その場合の近代市民というのは、後に述べるように、基本的人権を保障されて、自由で平等な立場で相互に社会的に関係し合い、かつ、主権の担い手として国政に参加しているような、独立した個人のことである。したがって、市民社会というのは、そのような近代市民たちが相互に取り結ぶ諸関係の総体である。
 他方、市民という語は、都市の住民という意味をももっていたから、今日でも、ある都市の住民をさして用いられる場合があり、そこから転じて、市民運動などという用語にみられるように、ある地方自治体の住民をさして用いられる場合もある。しかし、近代市民社会を構成する近代市民は、ある都市や地方自治体の住民を個別にさすのではなく、近代の国民国家においては、国民全体を包含している。ただ、国民という語が、ある国家に所属している人間たちという意味で用いられるのに対して、市民という語は、その国家の基礎にある社会の構成員という意味で用いられる。
 また、市民社会という語は、ブルジョア社会ないし資本主義社会と同じ意味で用いられる場合がある。確かに、近代市民社会は、その経済構造ないし階級関係からみれば資本主義的に編成されている。しかし、市民社会というのは社会そのものの編成原理を意味し、ブルジョア社会ないし資本主義社会というのは社会の経済的ないし階級的編成原理を意味するのであるから、両者は区別して用いられるべきである。[遅塚忠躬]

近代市民社会の成立

人間社会の歴史は、それぞれの社会を構成する基本的な単位が何であるかという点からみた場合、近代以前と近代以後とに二分される。すなわち、近代以前の社会は、何らかの人間集団(共同体)を単位として構成されていたのに対して、近代社会は、独立した個人を単位として構成されている。そして、その近代社会の構成単位としての独立した個人が、近代市民である。したがって、近代市民社会の成立は、近代以前の人間集団(共同体)が解体して、それらの集団から離脱した独立の個人が相互に新しい関係を取り結ぶようになる過程である。いま、その過程を、近代市民社会がもっとも早く成立した西ヨーロッパの場合について略述しよう。
 中世の西ヨーロッパ社会を構成する単位としての人間集団には、出生や職能によって区別された身分(聖職者・貴族・平民)とか、居住地によって区分された共同体(都市共同体・農村共同体)とかがあった。ほぼ16世紀以降、中世の諸侯の権力が衰えて、主権を行使する国王が権力を集中して絶対主義とよばれる国家体制が成立したが、その絶対主義のもとでも、社会を構成する基本単位としては、中世社会の基本単位が改変されつつも存続した。すなわち、その単位は、諸身分、さまざまな領主所領、都市共同体およびその内部の職能団体(ギルド)、農村共同体、などであった。それらの単位(人間集団)は、それぞれに固有の特権によって他から区別されており、社団(ないし中間団体)とよばれる。したがって、絶対主義下の社会は、社団によって編成されていた。
 ところが、同じく16世紀以降、商品経済の展開と資本主義的生産様式の形成によって、これらの社団は、いずれもしだいに解体し始める。その解体過程の基礎をなすものは農民層の分解による封建的土地所有関係の解体であり、それに伴って、身分差別、領主の支配、ギルドの編成、農村の共同体的規制など、あらゆる経済外的強制力が弛緩(しかん)し、諸個人は、社団の編成から離脱して、それぞれが、商品(労働力という商品も含む)の所有者として独立し、相互に自由な商品交換関係を取り結ぶようになる。こうして諸個人は近代市民になり、近代市民社会が形成されるのであるが、その過程を完成させたのが市民革命(ブルジョア革命)である。[遅塚忠躬]

市民革命と市民社会

17、18世紀の西ヨーロッパでは、自然法思想や社会契約説などの影響のもとで、絶対主義に対する批判が強まり、資本主義の担い手であるブルジョア階級を中心として、絶対主義にかわる新しい社会をつくろうとする動きが革命となって現れた。17世紀のイギリス革命(ピューリタン革命、名誉革命)、18世紀のアメリカ独立革命およびフランス革命がそれであり、それらの革命は、いずれも近代市民社会を成立させた革命であるので、市民革命とよばれる。市民革命による市民社会の成立の過程をフランス革命を例にとってみれば、まず、身分制、領主制、ギルド、農村の共同体的規制などが撤廃されてあらゆる社団が消滅し、同時に、人権宣言によって、自由権や所有権や権利の平等などの基本的人権が保障され、かつ、主権在民が確認されたから、ここに、社団から独立した近代市民たちが、自由で平等な立場で相互に商品交換関係を取り結び、かつ、主権の担い手として国政に参加するような、近代市民社会が成立した。市民社会における市民相互の関係は主として商品交換関係であるから、ヘーゲルは、市民社会を「欲望充足の体系」と規定し、これに秩序を与えるのが国家の役割であると考えた。しかし、市民革命は市民の総体が国家主権の担い手であることを明示したから、市民社会と国家は単に対置されているのではなく、市民社会における市民たちの共通の利害に基づいて近代国家が編成されるのだというべきである。
 このように、市民社会は、市民革命を経ることによって成立したのであり、イギリス、アメリカ、フランスの革命が市民革命であることは、それらのいずれもが、社団から離脱した個人に基本的人権を保障する宣言文を掲げていることによって明示されている。これに対して日本の明治維新は、資本主義成立の画期ではあったが、基本的人権の保障という点でははなはだ不十分であり、その課題は第二次世界大戦後の戦後改革まで持ち越されたから、日本における市民社会は、明治維新と戦後改革との2段階を経て成立したというべきである。[遅塚忠躬]
『G・ヘーゲル著、藤野渉・赤沢正敏訳『法の哲学』(1967・中央公論社) ▽J・ロック著、鵜飼信成訳『市民政府論』(岩波文庫) ▽成瀬治著『近代市民社会の成立』(1984・東京大学出版会) ▽竹居良明著『イギリスの市民社会』(1991・未来社) ▽平田清明著、八木紀一郎ほか編『市民社会思想の古典と現代』(1996・有斐閣) ▽杉山光信著『戦後日本の「市民社会」』(2001・みすず書房)』

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世界大百科事典内の市民社会の言及

【近代社会】より

…多くの場合,人は西ヨーロッパの歴史的発展のなかにその典型と規準を見いだした。そのかぎりまた近代社会は西ヨーロッパの市民社会と重なりあい,そこではなによりも個人がさまざまな社会的束縛から解放され,自我に目覚めていくことになる。さらにこの近代社会は統一的な政治的国家と対をなし,国民国家の形成と歩みを共にすると同時に,立憲的民主主義をその政治的内容とするのである(立憲主義民主主義)。…

【啓蒙思想】より

…17世紀,18世紀の西欧で近代市民階層の台頭にともなって広くおこなわれ,市民社会形成の推進力となった思想運動の総称。上記の英語名も,ドイツ語のAufklärung,フランス語のlumièresも,いずれも光ないし光によって明るくすることを意味する。…

【契約】より

…彼はゲゼルシャフト(利益社会)や国家が個々人の自由意思にもとづく契約から成り立つとし,〈契約とは,ゲゼルシャフト的行為としての交換において,ある一点で交わる二つの相異なる個別的意思の合致である〉と定義づけている。 このような契約行為が真に重要な意味をもつのは,商品交換,商品生産が支配的となる近代市民社会の成立期であった。市民社会とは絶対主義国家の社会関係のあり方に対立し,それを克服・止揚したところに成立した資本主義的な自由な社会関係の支配する社会である。…

【国家】より

…しかし国民主権が確立されることによって,国民的自覚(そのイデオロギー的表現が国民主義にほかならない)を備えた国民国家が成立することになったのである。
[夜警国家]
 近代国民国家は,まず市民社会を基盤として成立するが,この時期の近代国家の特徴は,夜警国家であり,立法国家であることに求められよう。夜警国家は,自由放任主義の下で国家の機能を最小限にとどめようとするものであった。…

【市民】より

…こうして,ブルジョアジーとしての市民は,小さな政府こそ最良の政府であるとして,自由放任主義を主張した。こうした市民によって構成される社会が市民社会にほかならない。 市民社会の前提は,政治的には政治参加の範囲を自律的市民に限定することであった。…

【市民革命】より

…市民革命というのは,一般的には,封建的・絶対主義的な社会および国家権力を解体させて,近代に特有な市民社会を実現させるような革命をいい,具体的には,イギリス革命(ピューリタン革命および名誉革命),アメリカ独立革命フランス革命などがそれに属するとされる。だが,市民革命によって実現される市民社会なるものは,一方で,自由・平等な個人の結合体としてのcivil societyの側面をもち,また他方で,ブルジョアジーの支配する資本主義社会ないしブルジョア社会bürgerliche Gesellschaftという側面をもっている。…

【市民法】より

…近代法では市民法bürgerliches Recht(ドイツ語),droit de bourgeoisie(フランス語)の語は市民の社会関係を規律し,市民社会の内部秩序を保持するための法を意味する。この場合,市民とは具体的生活を営む人間ではなく抽象的に考えられた法的人格としてとらえられている。…

【社会】より

…明治の初年に日本の知識人たちが,これらの西洋語を〈仲間〉とか〈交際〉などと訳したのは語義として当たっていたということができる。 しかし西洋語のこれらの概念は,いずれも近代初頭,すなわち17~18世紀において社会科学の母体をなしたイギリスおよびフランスの啓蒙思潮と,その系譜を引くイギリスの道徳哲学および古典派経済学,フランスの理性主義的進歩史観および実証哲学,ドイツの観念論哲学などの諸思想の中で,〈市民社会civil society,bürgerliche Gesellschaft〉という,抽象化された概念へと高められ,近代思想の中核を形成するにいたる。この抽象化された中核概念をあらわすのに,日常性の中での具体的イメージを担った〈仲間〉とか〈交際〉ではぐあいが悪い。…

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