リュード(その他表記)François Rude

精選版 日本国語大辞典 「リュード」の意味・読み・例文・類語

リュード

  1. ( François Rude フランソワ━ ) フランス彫刻家。一八三〇年頃から生命感にあふれた作品制作。ロマン主義彫刻代表者として、フランス近代彫刻の先駆となる。代表作エトワール凱旋門の浮彫群像。(一七八四‐一八五五

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改訂新版 世界大百科事典 「リュード」の意味・わかりやすい解説

リュード
François Rude
生没年:1784-1855

フランスの彫刻家。生地ディジョン素描を学んだあとパリに出る。1812年ローマ賞を得るがイタリアには留学せず,ブリュッセルに工房をもち彫刻を教える。31年ふたたびパリに戻り,政治家ティエールの庇護を得て,未完成であったエトアール凱旋門の装飾浮彫の一つを委嘱され〈ラ・マルセイエーズ〉(1835-36)を完成。その他《ネイ元帥像》(1853,パリ,オプセルバトアール通り)などを制作した。作風は基本的には古典主義的であるが,情熱的な動勢をそなえ,真実を探求する姿勢の上に成り立っている。その作品は同時代の硬直し乾いた古典主義に衝撃をあたえ,そのためアカデミー入りが拒否されたほどである。リュードの彫刻は,たとえば法曹家大デュパンの醜い容貌を描写した胸像などを通じて,ロダンたちに強い影響をあたえた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リュード」の意味・わかりやすい解説

リュード
Rude, François

[生]1784.1.4. ディジョン
[没]1855.11.3. パリ
フランスの彫刻家。生地の父の金属工場で働いていたが,1807年パリに出て彫刻家を志し,1812年にはローマ大賞を得た。しかしナポレオン1世の崇拝者であったためローマ留学を断念し,ナポレオン失脚後はベルギー亡命。同地に 1827年まで滞在して一連の新古典主義的作品を制作した。1831年『亀と遊ぶナポリの少年漁師』(ルーブル美術館)で新古典主義の立場から離れ,ロマン主義的写実主義(→ロマン主義美術)の作風を確立。引き続きパリのエトアール凱旋門壁面を飾る『ラ・マルセイエーズ(1792年の義勇兵出陣)』(1833~36)を制作。当時のフランスの国民的パトスを表現し,同時にバロック的な自然主義の様式を示した。その他の主要作品『ナポレオンの記念像』(1847,ディジョン近郊フィクサン公園),『ネイ将軍像』(1853,パリ,オプセルバトアール広場)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「リュード」の意味・わかりやすい解説

リュード
りゅーど
François Rude
(1784―1855)

フランスの彫刻家。生地ディジョンのアカデミーに学び、1805年パリに移る。12年ローマ賞を受けるがローマ行きは実現されなかった。ナポレオン主義者で、彼の没落後の15年ブリュッセルへ亡命。同地でダビッドの庇護(ひご)を受ける。27年帰仏。31年のサロン出品作『亀(かめ)と戯れるナポリの少年』(ルーブル美術館)は国の買い上げとなり、この作品によって33年レジオン・ドヌール勲章を受ける。しかし、彼の名を全フランスに知らしめたのは、パリのエトアール凱旋(がいせん)門の台座を飾る巨大な浮彫り『1792年の義勇兵の出発』(1833~36)である。「ラ・マルセイエーズ」の通称で知られるこの作品は、手足を力強く対角線上に広げ、人々をいざなう女神の表現をはじめ、見る人に英雄的な感情をかき立たせ、ロマン主義彫刻の代表作とみなされる。晩年の主要な作品に『不滅へと目ざめていくナポレオン』(1845、フィクサン・レ・ディジョン)、『ネイ将軍記念像』(1853、パリのオプセルバトアール通り)がある。パリに没。

[上村清雄]

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百科事典マイペディア 「リュード」の意味・わかりやすい解説

リュード

フランスの彫刻家。ディジョン生れ。初期には時流に従って厳格な新古典主義的作品を発表していたが,やがて自由で力強い動感と劇的な感情表出を特色とする新しい画風を創造し,フランスにおけるロマン主義彫刻の代表的存在となった。代表作はパリのエトアール凱旋門を飾る《ラ・マルセイエーズ(義勇軍の出発)》(1833年―1836年),《亀と戯れるナポリの若い漁夫》(1833年,ルーブル美術館蔵)など。
→関連項目カルポー

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