日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルリタテハ」の意味・わかりやすい解説
ルリタテハ
るりたては / 瑠璃蛺蝶
blue admiral
[学] Kaniska canace
昆虫綱鱗翅(りんし)目タテハチョウ科に属するチョウ。日本では北海道より八重山(やえやま)列島にわたって分布は広いが、とくに普通のチョウというわけではない。国外では朝鮮半島、中国、台湾よりインドにかけて分布、またスマトラ島、ジャワ島、ボルネオ島、フィリピンなどのマレー諸島の山地にも産する。はねの開張は63ミリメートル内外。中形のチョウではねの表は黒色、瑠璃(るり)色を帯びた白帯が外側を走り、きわめて特徴があってこれに紛らわしい種は日本およびその近隣地域には存在しない。はねの裏面は枯れ葉状。敏感なチョウで飛び方も速く、これをとらえることは容易ではない。腐果や樹液に集まるが、普通は花にこない。日本西南部の暖地では普通年3回(6~7月、8月、10月)の発生であるが、北海道あたりの寒冷地では年1回の発生となる。幼虫の食草はユリ科のサルトリイバラ、シオデ、ヤマガシュウ、ホトトギス、各種のユリ類など。近縁のキタテハ、ヒオドシチョウなどと同じく成虫の状態で冬を越す。
[白水 隆]