改訂新版 世界大百科事典 「アキテーヌ盆地」の意味・わかりやすい解説
アキテーヌ盆地 (アキテーヌぼんち)
Bassin d'Aquitaine
フランス南西部の大盆地。ほぼ三角形の平面形をなす。西はビスケー湾に面し,東をマシフ・サントラルのゆるやかな山地,南をピレネー山脈で限られ,北は300m以下の低い丘陵でロアール川の低地と境される。地形的には丘陵や低地からなる広大な平野であり,地質的には周囲を中生層で囲まれ,内部を固結度の低い第三系,第四系の砂質~礫質堆積物でうめられた堆積盆地をなす。中央部をガロンヌ川が北西に流れ,マシフ・サントラルからドルドーニュ川などの多くの支流が丘陵を開析しながら合流している。気候は海洋性で西~北西風が卓越し,年雨量は800~1000mmに達する。冬は一般に温暖で,夏は乾燥する年と湿潤な年があり,ブドウ酒の生産量や味を左右する。海岸地域はランドと呼ばれる砂丘地帯で,近年は灌漑農業が盛んになった。南東部オート・ガロンヌ県の県都トゥールーズと,ブドウ酒で有名な北西部のボルドーが主要都市。
→アキテーヌ
執筆者:小野 有五
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報