アサガオ(朝顔)(読み)アサガオ(英語表記)Ipomoea nil(Pharbitis nil); morning glory

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アサガオ(朝顔)」の意味・わかりやすい解説

アサガオ(朝顔)
アサガオ
Ipomoea nil(Pharbitis nil); morning glory

ヒルガオ科に属する一年草で,アジア原産。日本には奈良時代に中国から渡来し,薬用として栽培されていたが,江戸時代中期より観賞用に品種改良が盛んに行なわれるようになった。茎はつる性で左巻きに巻きつく。葉は深く3裂した心臓形で長い葉柄をもち互生する。しかし園芸品種では葉の形も多様で,また斑入りもある。短日性植物で,夏から秋にかけて開花する。花は葉腋につき,は深く5つに裂け,花弁漏斗状の合弁花。おしべ5本,めしべ1本があり,1日花で朝 10時頃にはしぼみ,翌日には花弁が落ちる。花の色はもともとは淡青色であるが,白,ピンク,紫,赤などいろいろあり,また大輪咲き,八重咲き,車咲き,獅子咲き,風鈴咲きなど多くの園芸品種がある。種子牽牛子 (けんごし) と呼び,おもに下剤に使われる。日当りがよく,また排水のよい土地に植えると,25℃以上の温度が1週間続けば開花するので,秋遅くまで長く花を楽しめる。学術上は遺伝学の研究や,開花生理の研究に広く使われ世界的に有名である。

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百科事典マイペディア 「アサガオ(朝顔)」の意味・わかりやすい解説

アサガオ(朝顔)【アサガオ】

ヒルガオ科のつる性一年草で,熱帯アジアの原産といわれる。茎は高さ1〜3m,葉ともに細毛があり,葉は互生し深く3裂する。花は葉腋に1〜3個つき,萼片は5枚,漏斗状の花冠で,花色は白,赤,紫など,早朝開花し午前中にしぼむ。奈良時代に唐から輸入され,種子を牽牛子(けんごし)と称し,薬用(下剤)とされていたが,江戸時代以降は一般に観賞用として栽培され,多くの園芸品種が作られている。大輪種のほかに,花型の変化した変り咲き(いかり咲,獅子(しし)咲,キキョウ咲,采(さい)咲,台咲など),葉型の変化したもの(丸葉,トンボ葉,くわ形葉,糸柳葉など)や斑入(ふいり)葉などがある(変化アサガオという)。その豊富な変化性のために遺伝の研究材料にも使われる。栽培は,5月上旬に種子をまき,小苗を鉢に移して仕立てるが,用土,肥料,水やりなどに注意を要する。
→関連項目合弁花

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