アシュール文化(読み)アシュールぶんか(英語表記)Acheul culture

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アシュール文化
アシュールぶんか
Acheul culture

アフリカ,ヨーロッパ,西アジアに広くみられる前期旧石器文化。従来,ヨーロッパではアブビル文化に続いて,アフリカではシェール文化に続いて現れるとされていたが,今日では,握斧を特色とする前期旧石器文化をすべてアシュール文化と呼び,それを前期,後期に分ける傾向が強くなってきている。アシュール文化の発展の様相はアフリカでよくたどられており,ヨーロッパではアシュール文化の各期の間に断絶がみられる。このことから,アシュール文化の故地をアフリカに求める意見が強い。握斧と剥片石器がおもな石器であるが,後期にはソフトハンマーを用いた形の整った握斧が出現する。この種の握斧は東アジアではまったくみられない。標準遺跡はフランスのソンム河畔のサンタシュール。

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百科事典マイペディアの解説

アシュール文化【アシュールぶんか】

フランスのサン・タシュールSaint-Acheul遺跡を標準遺跡とする前期旧石器時代の先史文化。ヨーロッパ,アフリカ,西南アジア,中国に広く分布する。ヨーロッパでは70万年前,東アフリカでは140万年前に起源をもつ。ハンド・アックスを主とし,大形の刃器,各種の剥片(はくへん)石器を伴う。
→関連項目アフリカムスティエ文化

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世界大百科事典 第2版の解説

アシュールぶんか【アシュール文化】

北フランス,アミアン郊外,サンタシュールSaint Acheul遺跡を標準遺跡とする前期旧石器時代文化。ヨーロッパではいわゆるハンド・アックスを伴う石器文化の新しい方に位置づけられる。木や骨角を材とした軟質のハンマーをその石器製作に用いた結果,剝離が薄くなり,石器の稜部が直線形になる。その年代はミンデル氷河期からリス/ウルム間氷期の終りまでがあてられ,30万年以上も継続したと考えられる。分布もきわめて広く,西ヨーロッパからインドまで,およびアフリカ大陸全体に知られる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アシュール文化
あしゅーるぶんか
Acheul

アフリカ、ヨーロッパ、西アジアを中心に広がる前期旧石器時代の文化。北フランスのアミアン郊外の、ソンム川段丘上にあるサン・アシュールを標準遺跡とする。ソンム川の段丘は19世紀以来、地質学的にも考古学的にも注目を集めてきた所だが、1883年にフランスのモルティエによってムスティエ文化に先だつ旧石器時代最初の文化段階として評価された。地域差はあるが、万能石器といわれるハンド・アックス(握槌(にぎりづち)・握斧(あくふ))を共通してもつ。代表的な石器としてはほかにクリーバー(鉈(なた)状石器)がある。
 100万年以前から6万年前ぐらいまで続くアシュール文化は、大きく前、後期に分かれる。前期には、石で打撃を加える石器製作技術しかもたなかったが、後期には骨、木などの柔らかいハンマーも用いるようになる。技術的には長足の進歩を遂げ、ルバロワ技法とよばれる特徴的できわめて体系的な石器製作技法も生み出される。[山下秀樹]

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世界大百科事典内のアシュール文化の言及

【シェル・アシュール文化】より

…ヨーロッパ,アフリカおよびアジアの一部では,中部更新世のころ,ハンド・アックスを指標とする前期旧石器文化が栄えていた。19世紀以来,フランスの二つの標式遺跡にちなんで,その前半は粗製のハンド・アックスをもつシェルChelles文化,後半はより発達した石器を作り出したアシュール文化として区分されてきた。しかしその後,シェル遺跡の石器はアシュール文化のものが主体を占めていることが明らかになり,シェル文化の用語は,ヨーロッパではソンム河岸の遺跡名をとってアブビル文化に置き換えられた。…

【ハンド・アックス】より

…用途は未分化であり,おそらく万能な道具として,切る,削る,掘るなどに用いられたものとみられるが,限定できないことから,両面調整石器biface,またフランス語のクー・ド・ポアンcoup‐de‐poingという名称も用いられる。ヨーロッパ,アフリカを中心とした前期旧石器時代の石器に限って用いられ,ミンデル氷期からリス氷期(50万~23万年前)のシェル文化,アシュール文化の代表的な石器であるが,石製ハンマーで粗く打ち欠いたシェル文化のものに比べて,アシュール文化のハンド・アックスには石材よりもむしろ軟らかい鹿角,木といったハンマーによる加工で,調整のいきとどいた芸術作品ともいえる優品がある。基本的には一端でとがる形をとり,セイヨウナシ形,卵形,楕円形,三角形,尖頭状の細長い形のものなどがある。…

※「アシュール文化」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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