アメリカ=メキシコ戦争(読み)アメリカ=メキシコせんそう(英語表記)Mexican War

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アメリカ=メキシコ戦争」の意味・わかりやすい解説

アメリカ=メキシコ戦争
アメリカ=メキシコせんそう
Mexican War

米墨戦争,メキシコ戦争とも呼ばれる。 1846~48年アメリカとメキシコ間に起った戦争。メキシコ独立以来,両国の関係は,アメリカ人のあくなき西部進出とテキサスの独立によって悪化の一途をたどっていたが,1845年のアメリカによるテキサス併合は,メキシコ政府を憤激させ,アメリカ駐在公使を引揚げるにいたった。 J.ポーク大統領は宥和交渉による問題解決をもくろみ,J.スライデル密使としてメキシコに派遣したが,メキシコ政府は外交交渉の再開を拒否。ポーク大統領は Z.テーラーに命じて,アメリカ軍を係争中のリオグランデ川に進出させ,ここに両国は戦闘状態に入った。戦闘は,カリフォルニアニューメキシコ,メキシコ本土の各地で1年半にわたって行われたが,圧倒的に優勢なアメリカ軍は,47年9月 14日,メキシコシティー占領,これをもって戦争は事実上終結した。 48年2月2日,グアダルペイダルゴにおいて締結された平和条約は,(1) メキシコはリオグランデ川をテキサス南境として承認する,(2) メキシコは,現在のニューメキシコ,ユタ,ネバダ,アリゾナ,カリフォルニアの諸州を含む領土を 1500万ドルでアメリカに割譲する,(3) アメリカ政府は,同国市民がメキシコ政府に対して有する 3250万ドルの賠償要求を肩代りする,という内容のものであった。 1846年のオレゴン獲得とともに,アメリカはここにその「マニフェスト・デスティニー (明白な運命) 」である太平洋岸への拡張をほぼなしとげたが,獲得した新領土を自由州にするか奴隷州にするかをめぐり,北部と南部間の紛争激化の一途をたどった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

潮力発電

潮の干満の差の大きい所で、満潮時に蓄えた海水を干潮時に放流し、水力発電と同じ原理でタービンを回す発電方式。潮汐ちょうせき発電。...

潮力発電の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android