改訂新版 世界大百科事典 「アラーハーバード」の意味・わかりやすい解説
アラーハーバード
Allāhābād
インド北部,ウッタル・プラデーシュ州中南部の同名県の県都。人口97万5393(2001)。インド大平原のほぼ中央部で,ヤムナー川とガンガー(ガンジス)川の合流点に発達した古代アショーカ王時代からの行政・経済の中心都市。またヒンドゥー教の代表的聖地の一つで,古代にはプラヤーガPrayāgaと呼ばれた。1583年,ムガル朝のアクバル帝によって城塞が築かれ,町の名もイラーハーバードIlāhābādと変えられ,ガンガー川中流域の支配拠点となった。18世紀初頭アウラングゼーブ帝の死により,町は地方豪族の手にゆだねられたが,1801年に東インド会社の保護下に入った。セポイの反乱で街は破壊されたが,翌1858年に北西管区の主都がアーグラから移され,再び行政都市として復活した。独立後,ウッタル・プラデーシュ州となり,州都がラクナウに移されたが,今なお州の高等裁判所や印刷局が残され,州立アラーハーバード大学(1887創立)や農業大学など有名な文教施設も見られる。ヤムナー川,ガンガー川合流点のはんらん原で毎年1~2月に行われるヒンドゥー教の大祭(マーグ・メーラー)は有名で,多数の巡礼が集まる。市内には,イスラム教徒支配時代のモスク,城址,墓廟も多い。独立後インドの政治を担った宰相ネルーの出身地で,生家は記念館として公開されている。郊外には,ガンガー川中流域で最大の空軍基地をもつ。
執筆者:中山 修一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報