イソニアジド(読み)いそにあじど(その他表記)isoniazid

翻訳|isoniazid

デジタル大辞泉 「イソニアジド」の意味・読み・例文・類語

イソニアジド(isoniazid)

イソニコチン酸ヒドラジド

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「イソニアジド」の意味・わかりやすい解説

イソニアジド
いそにあじど
isoniazid

化学名イソニコチン酸ヒドラジドisonicotinic acid hydrazideの略称で、その頭文字をとってINAH(アイナー)またはINHともいう。無色結晶または白色の結晶性粉末で、無臭。わずかに苦味を有する。1898年に化学物質として合成され、1952年に結核菌に対して有効なことが発表された。抗結核剤のうち作用のもっとも強力なものの一つで、パス(パラアミノサリチル酸)、ストレプトマイシンとの三者併用が結核の代表的治療法であった。この三者のうちイソニアジドに耐性菌ができにくかったが、現在では耐性菌が発現し、使用量は徐々に減ってきている。粉末、錠剤があり、おもに内服で用いられるが、水に溶けやすいため注射薬もある。常用量は1日0.2~0.5グラム。

[幸保文治]

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百科事典マイペディア 「イソニアジド」の意味・わかりやすい解説

イソニアジド

結核化学療法薬。イソニコチン酸ヒドラジドの別名。無色の結晶または白色の粉末。無臭,味はわずかに苦い。結核菌発育を阻止する特色があり(特異的抗菌作用),一般に効果の増強と耐性阻止のために他の抗結核薬と併用するのが原則。常用量と中毒量との幅が広いことが特色。副作用が現れても服用を中止すればなおる。(図)
→関連項目小児結核

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イソニアジド」の意味・わかりやすい解説

イソニアジド
isoniazid

イソニコチン酸ヒドラジド isonicotic acid hydorazid(INAH)ともいう。ストレプトマイシンや PASとともに第1次抗結核剤であるが,これらよりも抗結核菌作用が強く,これらと交差耐性も示さない。作用機序は明らかでないが,結核菌の代謝拮抗物質として作用すると考えられている。消化管からの吸収はよく,髄液を含めてすべての臓器に分布する。毒性は低く,副作用も少い。大量投与すれば,中枢神経興奮症状 (不穏,不眠,けいれん,反射亢進,異常感覚など) ,末梢神経炎,口渇,排尿困難などの副作用がみられる。

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栄養・生化学辞典 「イソニアジド」の解説

イソニアジド

 C6H7N3O (mw137.14).

 イソニコチン酸ヒドラジド,イソニコチニルヒドラジンともいう.抗結核薬.抗ビタミンB6薬としてビタミン拮抗剤の作用もある.

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世界大百科事典(旧版)内のイソニアジドの言及

【躁鬱病】より

…これらの薬物治療を円滑に導入し,十分な効果をあげるためには精神療法が不可欠であることはいうまでもない。精神分裂病メランコリー【飯田 真】
【抗鬱薬antidepressant drugs】
 1951年に結核治療薬としてイソニアジド(INAH)やその誘導体イプロニアジドが使われはじめると,副作用として浮かれ気分や躁状態を起こすことがわかり,翌年にはイプロニアジドがモノアミン酸化酵素を抑制することが知られた。この酵素抑制作用が抗鬱作用と関係があると考えられ,64年くらいまでに多くのモノアミン酸化酵素抑制薬が抗鬱薬として登場したが,心因性鬱病にしか効かないことと肝障害を起こすことから利用されなくなった。…

【肺結核】より

…同年,パラアミノサリチル酸(パス,PAS)が人体に用いられ,46年スウェーデンのO.レーマンによって,その臨床効果が発表された。52年にはイソニアジド(イソニコチン酸ヒドラジド)が有力な抗結核剤として登場した。日本ではこの三つの薬の長期間(2年以上)併用が標準化学療法として行われ,肺切除術の安全性も非常に高まったため,かつて〈気胸と成形〉を主とした肺結核治療は,〈化学療法と肺切除〉を主とした様相を呈するに至り,結核死亡率は著しい減少を示した。…

【ヒドラジド】より

…結核の化学療法剤イソニコチン酸ヒドラジド(イソニアジド)の通称としても用いられるが,化学ではカルボン酸の-OH基をヒドラジンの-NHNH2基で置換した形の化合物R-CO-NHNH2を総称していう。アミド結合とアミノ基が含まれている点で,性質,製法とも酸アミドR-CO-NH2とよく似ている。…

※「イソニアジド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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