改訂新版 世界大百科事典 「ウシノシタ」の意味・わかりやすい解説
ウシノシタ
sole
カレイ目ウシノシタ亜目Soleoideiに属する魚の総称で,眼が体の右にあるのがササウシノシタ科Soleidae,左側にあるのがウシノシタ科Cynoglossidaeである。世界中の温・熱帯域の浅海底に分布するが,まれに淡水に生息する種もある。日本には,イヌノシタCynoglossus robustus,ゲンコC.interruptus,アカシタビラメC.joyneri,クロウシノシタParaplagusia japonica,ササウシノシタHeteromycteris japonicusなど二十数種がおり,体長はふつう20~30cmである。長楕円形の体で,体型が舌を思わせることからシタビラメ,ウマノシタ,ベロなどと各地で呼ばれる。カレイ亜目と近縁であるが,口が弱くかぎ状であること,歯が微細であること,胸びれがあっても小さいことで区別される。夜行性で視覚は弱いが頭部の下面の触毛や鼻管,側線器官が発達しており,甲殻類,多毛類,小魚などをさがし出して食べる。その際,餌の上に頭部下面をたたきつけてから砂ごと食べる。深所にすむ種類はじみな体色であるが,ごく浅瀬にすむササウシノシタ類では色や斑紋が発達しており,有毒魚への擬態を行う種もある。日本では従来あまり使われなかったが,フランス料理ではムニエル,グラタン,フライ,ブドウ酒煮などにして珍重される。
執筆者:松下 克己
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報