エピオルニス(読み)えぴおるにす(英語表記)elephant bird

デジタル大辞泉 「エピオルニス」の意味・読み・例文・類語

エピオルニス(〈ラテン〉Aepyornis)

マダガスカル島に生息していた巨大な走鳥類。頭までの高さ約3メートル、重さ約500キロと推定されている。卵の化石は長径が33センチもある。飛ぶ力はなく、ダチョウのような体形をしていた。生態や生息年代、絶滅理由は不詳だが、18世紀ごろまで生存していたとされる。象鳥

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精選版 日本国語大辞典 「エピオルニス」の意味・読み・例文・類語

エピオルニス

  1. 〘 名詞 〙 ( [ラテン語] Aepyornis ) エピオルニス科の鳥。高さ二~三メートルに及ぶ巨大な鳥で、約三〇〇年前、マダガスカル島だけに生存したことが知られている。脚は太く、翼が不完全で小さいダチョウに似た無飛力の走鳥。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エピオルニス」の意味・わかりやすい解説

エピオルニス
えぴおるにす
elephant bird
[学] Aepyornis

マダガスカル島において化石でのみ知られている絶滅した巨大な鳥。隆鳥(りゅうちょう)あるいは象鳥(ぞうちょう)ともよばれる。マダガスカル島の海岸で、砂の中から長さが33センチメートル、径が24センチメートルもある巨大な卵がみつかり、容積ニワトリの卵の148倍もあった。発掘された骨格からは、その鳥の背丈は3メートルもあったと推定されている。先祖型にあたるものの化石は、北アフリカの始新世や漸新世の地層からみつかっており、この鳥の先祖たちは4000万年前ころにはアフリカ大陸に広く分布して飛び回っていた。大陸から孤立しているマダガスカル島に住み着くようになってからは、天敵がいなくて安全なために飛ぶ必要がなくなり、地上で歩行して生活するようになったとされている。人類がこの島に住み着くようになって、狩りつくされて絶滅してしまった。ニュージーランドの、同じように大形で飛ぶことができなかったために絶滅した鳥で、恐鳥(きょうちょう)とよばれているモアなどとともに走鳥類という鳥類のグループに分類されている。同じ走鳥類でも、ダチョウ、レアエミューヒクイドリは、早く走って逃げることができるので現在も生き残っているが、中足骨(ちゅうそっこつ)が短くて太いエピオルニスやモアは、早く走ることができなかったために絶滅してしまった。『千夜一夜物語』のシンドバッドの話にある巨大な怪鳥ロクrokhは、このエピオルニスのこととされている。

[亀井節夫]

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改訂新版 世界大百科事典 「エピオルニス」の意味・わかりやすい解説

エピオルニス
elephant-bird
Aepyornis

ダチョウ目エピオルニス科Aepyornithidaeに属する鳥の総称。絶滅した大型の走鳥類で,マダガスカルの最新世および現世の地層から,化石ないし半化石の骨と卵殻が見つかっている。卵殻の古さや古い文献から,10世紀ころまで,あるいは17世紀の初めころまで,エピオルニスが生き残っていたという説があるが,真偽のほどはわからない。形態はダチョウよりエミューかモアに似ていたと思われ,頭は小さく,足は太く,あしゆびは通常4本(種によって3本)あった。骨格の大きさから,少なくとも6~7種が区別されている。そのうちの最大種エピオルニスマクシムスAepyornis maximusは頭高が3.3m,体重が450kg(推定)もあり,現生のダチョウ(頭高2.4m,体重150kg)よりはるかに大きかった。また,長径33cm,短径24cm,体積9lの卵が発見されているが,これはダチョウ卵の7個分,鶏卵の180個分の大きさに相当し,動物の卵として最大である。《アラビアン・ナイト》に登場するロック鳥roc(インド洋の島にすんでいて,つめで象をさらっていくという巨大な怪鳥)の伝説は,おそらくエピオルニスがもとになったのではないかといわれている。エピオルニスにいちばん近い鳥の化石は北アフリカの第三紀から数属出ているが,それらがエピオルニスの真の祖先であったかどうかはまだ明らかでない。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エピオルニス」の意味・わかりやすい解説

エピオルニス

(1) Aepyornis maximus; elephant-bird エピオルニス目エピオルニス科。この科の最大種とも考えられ,頭高(背)が 3.1m,体重約 400kgと推定されている。頭が小さく,ダチョウに似る巨大な化石鳥の一種で,化石はマダガスカル島第四紀地層に含まれていた。植物食。飛翔力のない地上性の鳥で,天敵がワニ類ぐらいしかいない島に生息していたので大型になることができたといわれる。鳥類では,長径が最大 34cmもある巨大な卵を産んだ種として知られている。
(2) Aepyornithidae; aepyornis; elephant-birds エピオルニス目エピオルニス科の鳥の総称。17世紀には絶滅していたとされる。マダガスカル島に固有な鳥で,少なくとも 4種がいたとされるが,すべてエピオルニス A. maximus だとする研究者もいる。『千一夜物語』の巨大な怪鳥ロック Rocは本科の鳥が元になって生まれたのではないかといわれている。

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百科事典マイペディア 「エピオルニス」の意味・わかりやすい解説

エピオルニス

エピオルニス科の絶滅鳥。1849年マダガスカル島で長径33cm,短径24cmの卵が発見され,翌年骨とともに記載された。高さ約3m,体重450kgで,飛べなかったと推定される。《千一夜物語》に出てくるロックはこの鳥のことという説もある。
→関連項目絶滅動物ロック

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