日本大百科全書(ニッポニカ)「カエデチョウ」の解説
カエデチョウ
かえでちょう / 楓鳥
waxbill
広義には鳥綱スズメ目カエデチョウ科に属する鳥の総称で、狭義にはその1種をさす。同科Estrildidaeはエチオピア区、東洋区、オーストラリア区に広く分布し、カエデチョウ類16属62種、キンセイチョウ類5属13種、キンパラ類6属51種に分類されている。全長約10センチメートル、華やかな変化に富む色彩のものが多いが、褐色、灰色、黒が基調のものもある。日本には分布していないが、古くから輸入され多くの種が飼育されてきた。
種としてのカエデチョウEstrilda troglodytesは全長約90ミリメートル。嘴(くちばし)は赤いろう細工状で過眼帯も赤い。体の上面は淡灰褐色、下面は淡桃色を帯び不明瞭(ふめいりょう)な横縞(よこじま)がある。アフリカ西部、チャド、スーダン、北西ウガンダなどのサバンナにすみ、小さな草むら、一かたまりの草などの根元の地上近くに、草で西洋ナシ形の横に入口のある巣をつくる。草本の種子、穀物を好むが、昆虫などの小動物もとる。類似種にアフリカ東部、中部、西部に分布するオナガカエデチョウE. astrildがある。
[坂根 干]