西アフリカのカメルーン西部,ギニア湾に直接面した活火山。標高4095m。長さ50km,幅35km,北東から南西にのびる長楕円形で,主要部は第四紀の塩基性火山岩類が成層する。活動の記録は5世紀,17世紀,19世紀に少なくとも9回以上,20世紀に入って1909,22,59,そして82年10月に側火山からのアルカリ玄武岩質の溶岩の流出があった。最高峰はファコ(〈神の二輪車〉の意),またはモンゴマロバ(〈神の山〉の意)と呼ばれあがめられている。南西斜面は年降水量1万mmを超す多雨域で,山麓斜面は熱帯雨林となっている。南東斜面の裾野にはドイツ領当時の主都であったブエアの町があり,平野へ向かってアブラヤシやゴムのプランテーションが広がる。初登頂者は1861年のイギリス人R.バートン。カルタゴのハンノが前500年ころ海上からこの山を眺めた記録もある。
執筆者:堀 信行
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
アフリカ中西部、カメルーン西端のギニア湾沿いにそびえる孤峰の活火山。粗面玄武岩などからなる成層火山で、同国の最高峰(4095メートル)である。紀元前5世紀から、近くは2000年まで十数回の噴火記録があり、しばしば溶岩流も発生した。とくに1999年の噴火は、標高1400メートルの中腹からの割れ目噴火で、大量の溶岩が時速7~15メートルの速さで火口から6~7キロメートルまで流下し、バナナなどのプランテーションに大きな被害を与えた。また同じカメルーン火山列にあるニオス湖Lake Nyosでは、1986年に突然大量の二酸化炭素が噴出し、1746名の死者を出した。大部分が熱帯降雨林に覆われ、風上側の南西山麓(さんろく)では年降水量が約1万ミリメートルである。山腹の農園ではココア、ゴム、アブラヤシなどを栽培する。山頂部は雪を頂くこともある。
[諏訪 彰]
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