コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

カリカチュア caricature

翻訳|caricature

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

カリカチュア
caricature

風刺,寓意,ユーモアを内容とする絵画,記述などの総称,もしくはその表現手法。特に絵画をさすことが多い。語源イタリア語の caricaturaで「誇張されたもの」「ゆがめられたもの」の意。皮肉,嘲笑,寓意などを誇張して表現する。起源は古く,古代エジプトのパピルスに擬人化された鳥獣画があり,ギリシア時代には風刺画家パウソンの名が伝わる。西洋では中世から近世にいたり,P.ブリューゲル,H.ボッシュ,H.ホルバインなどのすぐれた画家が寓意的作品を描いた。近代ではイギリスの W.ホガース,スペインの F.ゴヤ,フランスの H.ドーミエらが出て,近代美術の新たなジャンルをなすにいたった。日本では,古くは平安末期~鎌倉初期の『鳥獣人物戯画』,明治期に活躍した小林清親戯画的な浮世絵などが著名。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉の解説

カリカチュア(caricature)

特徴を大げさに強調して描いた風刺画。戯画。カリカチュール。文章や芝居での風刺的な表現にもいう。
[補説]語源はイタリア語のcaricaturaで、荷の積み過ぎ、誇張の意。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

百科事典マイペディアの解説

カリカチュア

誇張的表現による社会風刺,寓意(ぐうい),滑稽(こっけい)などを目的として描かれた画像の総称。古代エジプトの擬人化した鳥獣画などを起源とするが,特に17世紀以降,版画技術や印刷術の普及に伴って広く行われ,政治的にも利用されるようになった。
→関連項目バーレスク風俗の歴史ポンチ絵漫画

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典 第2版の解説

カリカチュア【caricature】

対象の特徴を鮮明に示すために誇張・省略された,あるいは本来の意味から逸脱して利用された形をもつ絵画(まれに彫刻)。戯画,漫画,場合によっては風刺画と呼ばれる。諧謔(かいぎやく)や風刺を目的とする点で,表現主義芸術や図式化・単純化された形,あるいは信仰神話に関連する人獣合体した異様な姿などとは区別される。しかし,この区別は絶対的なものではない。また風刺自体は広義社会性をもつものが多く,滑稽もまた慣習風俗によって大いに異なる。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

カリカチュア【caricature】

事物を簡略な筆致で誇張し、また滑稽化して描いた絵。社会や風俗に対する風刺の要素を含む。漫画。戯画。風刺画。カリカチュール。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

カリカチュア
かりかちゅあ
caricature

風刺画、戯画、漫画などと訳されるが、それが含む意味は多様で、その作品の帯びる性質による。本来の意味は、イタリア語のcaricatura、すなわち「誇張されたもの」「歪曲(わいきょく)されたもの」であり、風刺画あるいは戯画の意味合いを強くもつ。したがって、単純な漫画は含まれない。
 人間には生来、不合理なものや不可解なものに耐えられず、批判しようとする精神があり、それを一種の笑いとして表現する場合にカリカチュアが生まれる。それはかならずしも対象を直接的に攻撃する形をとらないこともあり、比喩(ひゆ)や寓意(ぐうい)を借りることも少なくない。その場合でも、特定の対象が設定されていることがカリカチュアの要件である。無対象の笑いは、どれほど痛快であってもカリカチュアとはいえない。カリカチュアということばは、広く文学や思想の領域でも用いられ、ラブレーの『ガルガンチュワ‐パンタグリュエル物語』やセルバンテスの『ドン・キホーテ』はその種の傑作といわれている。
 美術の分野では、古くから一つの絵画形式として存在しており、エジプトの石片やパピルスに描かれた動物画に先例が求められる。中世に、免罪符を売るカトリック教会の偽善性を暴露した戯画が流布されたのは、カリカチュアの実例と考えることができる。
 ルネサンス期になると、ピサネッロやレオナルド・ダ・ビンチが人文主義的思想に立脚した戯画を描き、また、北欧の画家たち、デューラー、ホルバイン、ボス、ブリューゲルらにより具象的な作例が現れて、近代的なカリカチュアの祖型が形づくられた。この流れが発展したところに、カロ、ピラネージ、ホガース、ローランドソン、ゴヤらの優れた作品が生まれた。19世紀に入ると、新聞の普及によって、ドーミエやポール・ガバルニのようなカリカチュアに専念する画家が現れて、分野はいっそう広がり、ピカソ、グロッス、アンソール、オットー・ディックスらを代表とする現代における隆盛の基盤をつくった。
 日本でも鎌倉期の『鳥獣人物戯画』をはじめとして、江戸時代には鳥羽絵(とばえ)、そして葛飾北斎(かつしかほくさい)、歌川国芳(くによし)、渡辺崋山(かざん)などの諸作品を生み、カリカチュア史上、相当な位置を占めている。とくに北斎の『北斎漫画』の国際的評価は最高である。[瀬木慎一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内のカリカチュアの言及

【カラッチ一族】より

…彼はまた同じ頃,秩序づけられ詩的雰囲気を与えられた理想的風景画のタイプをつくり出し,この面でもプッサンとC.ロランに先行している。アンニバレの芸術は,死後彼を偶像化したアカデミズムによって理想主義的側面のみを強調されることになったが,初期には写実的な風俗画も手がけており,また意図的に歪曲された肖像であるカリカチュアというジャンルはその名称とともに彼の創案になるという。アゴスティノの様式はアンニバレに近く,ファルネーゼ宮殿の装飾では弟に協力しているが,その本領はむしろ銅版画制作と教師としての活動に発揮された。…

【風刺画】より

…画家がその対象(特定個人,職業,階級,社会の風習,政治的事件,著名な物語や寓話など)を風刺するために,意図的に誇張,逸脱したり,グロテスク化することなく,むしろ客観的に観察し,リアルに表現した作品。一般にはカリカチュア(対象の特徴や欠陥を極端にゆがめて嘲笑する戯画)と同義に解されがちだが,厳密にいうと風刺画にはカリカチュアの手法が用いられる場合とそうでない場合とがある。ここでは後者の作例について述べ,前者については〈カリカチュア〉の項目を参照されたい。…

※「カリカチュア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

カリカチュアの関連キーワードホフマン(Ernst Theodor Amadeus Hoffmann)モネ(Claude Monet)ビクトリア・アルバート美術館エードゥアルト フックスグラフ・ジャーナリズムコメディア・デラルテカリカチュアライズジンプリチシムスロバート クラム吾輩は猫であるラインハートビアボームC. モネ中南米映画ギルレイミルボーブッシュフックス人形劇物真似

今日のキーワード

歌舞伎町ブックセンター

東京都新宿区歌舞伎町にある、ホストやホステスが書店員として接客する書店。歌舞伎町でホストクラブを運営するスマッパグループの事務所1階にあるイベント・カフェスペース「jimushono1kai」に併設さ...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

カリカチュアの関連情報