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鳥羽絵 とばえ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

鳥羽絵
とばえ

江戸時代の略画風の戯画。日常生活を題材とした軽妙な墨書きの滑稽な絵。名称は平安時代の画僧,鳥羽僧正覚猷が戯画をよく描いたといわれることに由来する。

鳥羽絵
とばえ

歌舞伎舞踊曲。清元。本名題『御名残押絵交張 (おんなごりおしえのまぜばり) 』。九変化の一つ。文政2 (1819) 年江戸中村座で,3世中村歌右衛門 (1世中村芝翫) が初演。2世桜田治助作詞,清沢万吉 (1世清元斎兵衛) 作曲,藤間勘助ほか振付。当時流行の,体を痩身に,手足を細長く描く鳥羽絵の趣を舞踊曲に仕立てたもの。山東京伝作『絵兄弟』の戯画を典拠とし,大店の台所を舞台に下男とぬいぐるみのねずみの滑稽なやりとりが描かれる。本調子。のちに長唄に改曲され,天保 12 (1841) 年江戸中村座の『八重九重花姿絵 (やえここのえはなのすがたえ) 』中の九変化の一つとなった。これは全曲三下りで,新内ガカリとなっている。

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デジタル大辞泉の解説

とば‐え〔‐ヱ〕【鳥羽絵】

《戯画に長じたと伝える平安後期の僧、鳥羽僧正覚猷(かくゆう)にちなんでいう》江戸時代、日常生活を軽妙なタッチで描いた墨書きの戯画。今日の漫画にあたり、大坂の松屋耳鳥斎らの手によって盛んになった。
歌舞伎舞踊。清元。九変化舞踊「御名残押絵交張(おんなごりおしえのまぜはり)」の一。2世桜田治助作詞、清沢万吉作曲。文政2年(1819)江戸中村座初演。を題材にした踊りで、半裸の下男が枡(ます)を持ってねずみを追いかける図を舞踊化したもの。

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世界大百科事典 第2版の解説

とばえ【鳥羽絵】

江戸時代に流行した戯画の一種。《鳥獣戯画》の筆者に擬せられる鳥羽僧正(覚猷(かくゆう))にちなんでこう呼ばれる。略画的タッチで人物や動物などを滑稽に描く。大坂の狩野派の大岡春卜筆といわれる《軽筆鳥羽車》3冊本(1720)は古例に属する。鳥羽絵はまず大坂で流行し,《絵本水や空》(1780)や《絵本古鳥図賀比》(1805)の作者松屋耳鳥斎が代表的。江戸でも,鍬形蕙斎(くわがたけいさい),葛飾北斎歌川広重などが鳥羽絵を試みている。

とばえ【鳥羽絵】

歌舞伎舞踊。清元。九変化所作事《御名残押絵交張(おんなごりおしえのまぜはり)》の一曲。1819年(文政2)9月江戸中村座初演。3世中村歌右衛門ほか。作詞2世桜田治助。作曲清沢万吉。振付藤間勘助(のちの4世西川扇蔵)ほか。江戸時代の戯画(鳥羽絵)からとった題材で,枡(ます)を持ち鼠を追いかけてきた半裸の下男の滑稽な踊り。すりこぎに羽がはえてとんだり,ぬいぐるみの鼠が女の振りで下男をくどいたり,軽快でリズミカルな作品。

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大辞林 第三版の解説

とばえ【鳥羽絵】

〔院政末期、鳥羽僧正が始めたという〕 江戸時代、簡略軽妙に日常生活を画材として描いた滑稽な戯画。
歌舞伎舞踊の一。清元。九変化の一。本名題「御名残押絵交張おんなごりおしえのまぜばり」。二世桜田治助作詞。1819年江戸中村座初演。鳥羽僧正の描いたといわれる鳥獣戯画の滑稽洒脱しやだつな趣を舞踊化したもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

鳥羽絵
とばえ

歌舞伎(かぶき)舞踊。清元(きよもと)。2世桜田治助(じすけ)作詞。清沢万吉作曲。振付けは藤間勘助ほか。1819年(文政2)9月江戸・中村座で3世中村歌右衛門(うたえもん)が初演した九変化(へんげ)舞踊『御名残押絵交張(おんなごりおしえのまぜはり)』の一つ。漫画の始祖といわれる鳥羽僧正(とばそうじょう)の名をとってつくられた戯画「鳥羽絵」を題材にした踊りで、半裸の下男が枡(ます)を持って鼠(ねずみ)を追いかけ、すりこぎに羽が生えて飛んでいる図を舞踊化したもの。当時流行のトッチリトンや投節(なげぶし)を取り入れ、ぬいぐるみの鼠が女の振(ふり)で言い寄るのに、下男の升六(ますろく)が猫になって応ずる滑稽(こっけい)なクドキや、最後は『先代萩(せんだいはぎ)』の「床下(ゆかした)」の男之助(おとこのすけ)を見立てた見得で終わるなど、洒落(しゃれ)っ気にあふれ、軽快でリズミカルな踊りである。[松井俊諭]

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世界大百科事典内の鳥羽絵の言及

【覚猷】より

…晩年は鳥羽上皇の信任篤く,鳥羽離宮に住し,鳥羽僧正と称された。画技をよくし,《古今著聞集》には,風刺画に巧みであったと伝えられ,後世の滑稽な戯画を指す鳥羽絵の名称の起源ともなっている。古くから《鳥獣戯画》(高山寺)の筆者に擬せられてもいるが確証はない。…

※「鳥羽絵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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