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ガチョウ

栄養・生化学辞典の解説

ガチョウ

 [Anser anser].脊椎動物門鳥綱カモ目マガン属の鳥.野性のガンを家畜化したもので肉を食用にする.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ガチョウ
Anser anser; domestic goose, goose

カモ目カモ科。野生のガン類をおもに食肉用に改良した家禽。古代エジプトでは前3000年頃には家禽化されていた記録がある。中国か東南アジアあたりでも家禽化されていたと考えられ,ヨーロッパでも前388年にすでに飼育されていた。中国で家禽化された品種サカツラガンが原種での基部にこぶがあり,シナガチョウと呼ばれ,おもにアジアやアフリカで飼育されている。一方,ヨーロッパのガチョウの原種はハイイロガンで,おもにヨーロッパと北アメリカで飼育されている。代表品種にはツールーズ種(フランス),エムデン種(ドイツ)がある。ツールーズ種は羽色が灰色で,大型のものは原種の 3倍もの大きさになり,フォアグラで有名。エムデン種はイギリスに輸入,改良された純白品種で,市販用ガチョウの生産では基本品種の一つ。シナガチョウは羽色が淡赤褐色,肉質もよく,産卵性はガチョウのうち最も高く品種改良によく用いられる。原種が異なるが,ヨーロッパとアジアの品種を交配して多くの品種もつくられている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ガチョウ
がちょう / 鵞鳥
domestic goose
[学]Anser anser var. domestica
[学]Anser cygnoides var. domestica

鳥綱カモ目カモ科の鳥。同科のハイイロガンをヨーロッパ、西アジアで、またサカツラガンを中国でそれぞれ家畜化したものである。したがってヨーロッパ系と中国系とに区分される。ヨーロッパ系の家畜化の歴史は古く、ナイル河畔の最古の家禽(かきん)として紀元前2900~前2200年の旧エジプト王朝時代に出現している。中国系の家畜化の歴史は不明である。ガチョウの肉質はアヒルよりすこし劣るが、肉量は多く、草や青菜などの緑餌(りょくえ)の比率が高いので肉用として飼育しやすい。ヨーロッパではわりに高く評価されて、ロースト、煮込みなどにする。フォアグラはフランスでガチョウを強制肥育し、その脂肪肝をペーストにしたものである。また、卵も食用にされ、綿羽はクッションなどの詰め物に利用される。日本では飼育数は少なく、肉用としてよりも、むしろ警戒心が強いので、ペットとして番犬がわりに飼われることが多い。肉としてはシチメンチョウに押されてあまり市場に出ないが、カレー煮、うま煮などに用いる。また、ペキンダックのように焼いて皮を食べることもある。[西田隆雄]

品種

ヨーロッパ系ではエムデンとトゥールーズが有名である。中国系の代表的品種はシナガチョウで、アフリカガチョウはアメリカでシナガチョウとトゥールーズを交雑してつくったものである。これら2品種の雄は嘴(くちばし)の基部にこぶ状の突起があるのが特徴で、このこぶはヨーロッパ系にはみられない。エムデンは、イタリア白色種と在来白色種との交配によってドイツと北オランダで作出されたブレーメン種がイギリスに入り、イギリス白色種と交配されてできあがった品種である。雄の成鳥では体重12~15キログラムに達する白色の肉用種である。トゥールーズはフランスのトゥールーズ地方原産の灰褐色種で、エムデンよりすこし小さく、成体では喉嚢(こうのう)がよく発達する。シナガチョウは中国でつくられた歴史の古い小形肉用種で、雄の成鳥でも体重5.5キログラムにすぎない。初め観賞用としても飼われていたが、アメリカにおける小形食用ガチョウの需要の増加によって、肉用種としての地位を確立した。羽色には灰褐色と白色がある。アフリカガチョウはシナガチョウとトゥールーズ両種の特徴を兼ね備え、こぶと喉嚢がある。羽色は淡褐色で、シナガチョウのほぼ倍の大きさになる。[西田隆雄]

飼養管理

早春から産卵を始め、1シーズンにエムデンが約20個、トゥールーズとシナガチョウは40~50個産卵する。抱卵あるいは人工孵化(ふか)によって約30日で孵化する。孵化後3週齢まで水に入れず敷き藁(わら)上で、練り餌(え)を与えて飼育する。10週齢で体重約5キログラムになる。これを食用ヒナガチョウとして出荷する場合には、その約2週間前から濃厚飼料を与え肥育する。ガチョウは環境に対する抵抗力が強いので、かなり寒い地方でも水場を柵(さく)囲いし、簡単な屋根をつければ戸外で飼うことができる。また緑餌を好むので、草地に放し、わずかな穀類、ぬかなどを夕方、舎内に入れる前に与える程度ですむ。長命なため約10歳まで繁殖に用いることができる。繁殖時には雌2、3羽に雄1羽を配し、タンパク質性飼料を餌(えさ)の約10%与える。[西田隆雄]

民俗

古代文明地域では、ガチョウは神聖な鳥であった。エジプトでは、太陽は天空に住むガチョウが毎日産み落とす卵であると考えられ、大地の神ゲブは雄のガチョウとされ、そのガチョウの雌が太陽の卵を産むと伝える。また、テーベでは主神アモンの聖鳥として、たいせつに飼育されたという。古代のギリシアやローマでも、宮殿や神殿で神聖なガチョウが飼われており、鳥の家禽(かきん)化は、その神聖視と相互関係がある。中国でも、神前に供えたガチョウが鳴くかどうかで神意を計る習慣があった。これらの伝承は、シベリアのオスチャーク人が、春にオビ川へやってくるガンを守護する神はガンの姿をしていると伝えているような、野性のガンの信仰につながるものであろう。[小島瓔

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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