日本大百科全書(ニッポニカ) 「キール(竜骨)」の意味・わかりやすい解説
キール(竜骨)
きーる
keel
船体の底部にあって、中心線に平行に船の全長にわたって通されている構造部材で、竜骨(りゅうこつ)ともいう。動物に例えれば背骨にあたり、もともとは木船の船体構造の中心として縦方向の力材の役を果たしていた。鋼船のキールには方形キールと平板キールがある。方形キールは、木船で用いられていた角材のキールの変形で、鋼船の初期には大形角形棒がよく使用された。しかし現在では、細長い鋼の厚板をスケートの刃のように船底に取り付けた方形キールが漁船などで使われているほかは、すべて平板キールに変わっている。これは船側や船底の外板となんら変わりはなく、木船のキールと同じ場所にあるので、キールという名称が残っているにすぎない。
[森田知治]