美術工芸品,装飾品用の屈折率を高めたガラス。カリガラス系(K2O-CaO-SiO2系)はボヘミアクリスタルガラス,鉛ガラス系(K2O-PbO-SiO2系)は鉛クリスタルガラスと呼ばれる。後者の鉛クリスタルガラスが一般的であり,輝きを増すために屈折率を大きくする目的で加える鉛成分を最大35重量%,ふつう25重量%程度含有する。完全に無色透明のガラスとするために,不純物として酸化鉄のきわめて少ない原料を使用し,酸化鉄によるわずかな着色は,カリガラスとして微量の酸化ニッケルを加えて消色する。クリスタルガラスは一部連続溶融されているが,一般にはるつぼを用い,1本あたり200~500kg程度が溶融され,宙吹きなどの手作業,あるいは機械により成形が行われ,切子やグラビールなどの研削加工が行われることが多い。切子はカットとも呼ばれ,ガラス表面を研磨加工し幾何学的な模様を付ける作業である。グラビールは,回転する銅円盤と研削材を用いて,ガラス器の表面を彫刻する技法である。カット・グラスとしてはチェコ,ドイツ産などが有名である。
執筆者:安井 至
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反射率、屈折率、透明度の高い工芸用のガラス。そのために酸化鉛を多量(ヨーロッパ規格では24重量%以上)に含有している。花器、高級食器などでは多く肉厚となるので不純物(とくに酸化鉄)による着色が目だたないように、原料の純度にはとくに注意を払う必要がある。またガラスの質が比較的軟らかいので、しばしばカット(切子(きりこ)細工)が施され、光の反射、屈折の美しさを強調するようにくふうされているため、カットガラスという呼び名と混同されている。一般のガラスの比重が約2.5であるのに対し、3あるいはそれ以上あって重く、たたくと多くは澄んだ金属性の音がする。組成の例をあげると、二酸化ケイ素SiO2 58.2、酸化カリウムK2O 12.0、酸化カルシウムCaO 4.1、酸化鉛PbO 25.7%。2000年代に入り、鉛の毒性による環境汚染の問題から、鉛を含まないクリスタルガラスがつくられるようになってきた。カリウムを多量に含むガラス、あるいは、それにジルコニア(酸化ジルコニウム)ZrO2や二酸化チタンTiO2などの高い屈折率をもつ酸化物を含むガラスがつくられている。
[境野照雄・伊藤節郎]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
PbOを含む高屈折率の工芸用ガラス.ヨーロッパではとくにPbO 25% 以上の鉛ガラスをさすことがある.反射率が高い.まれには単に無色透明なガラスをさすこともある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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