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グリンメルスハウゼン Grimmelshausen, Hans Jakob Christoffel von

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

グリンメルスハウゼン
Grimmelshausen, Hans Jakob Christoffel von

[生]1622頃.ゲルンハウゼン
[没]1676.8.17. レンヘン
ドイツの小説家。三十年戦争のさなか,12歳で戦乱に巻込まれ,1648年まで兵役につく。捕虜になったり,貴族に仕えたり,料亭を経営したりの波乱に富んだ人生をおくり,67年からレンヘンの村長をつとめた。ドイツ・バロック時代の最高傑作といわれ,スペインの悪者小説の流れをくむ代表作『ジンプリチシムス (阿呆物語) 』 Der Abenteuerliche Simplicissimus Teutsch (1669) には三十年戦争の生々しい描写がみられる。当時の主流をなした宮廷文学に対して,民衆の1人を主人公に,その弱さ,醜さ,罪深さ,神々しさを描こうとしたこの小説は1人の人間の成長を追求した点で,ドイツ教養小説の系譜のなかに数えられる。初め黙殺されていたが,ロマン派によって再評価され,第1次世界大戦後には特に研究が盛んになった。

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百科事典マイペディアの解説

グリンメルスハウゼン

ドイツの作家。三十年戦争の戦乱で両親を失い,やがて兵士となって各地を転々とし,その経験をもとに自伝的小説《ジンプリチシムスの冒険(阿呆物語)》を1669年に発表。
→関連項目教養小説悪者小説

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世界大百科事典 第2版の解説

グリンメルスハウゼン【Hans Jakob Christoffel von Grimmelshausen】

1621か22‐76
ドイツの作家。17世紀ドイツのいわゆるバロック小説を代表する《ジンプリチシムスの冒険》(1669)の作者であるが,綴字遊びによる変名を重ねたため長く不詳のままであり,その生涯についても不明の点が多い。ヘッセンに生まれ,古くは貴族の家系であったというが,祖父はパン屋であった。13~14歳のころ三十年戦争の渦中に巻き込まれ,軍隊に拉致されてあちこちで馬丁や兵卒や連隊書記などを務めたのち,戦後バーデン地方で元の上官の領地の管理人や別の城の執事や酒亭のあるじとなり,1667年には小村の村長となっている。

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大辞林 第三版の解説

グリンメルスハウゼン【Hans Jakob Christoffel von Grimmelshausen】

1622頃~1676) ドイツの小説家。三十年戦争時代の民衆生活に取材した風俗風刺の教養小説「阿呆物語(冒険心の盛んなジンプリチシムス)」で名高い。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

グリンメルスハウゼン
ぐりんめるすはうぜん
Hans Jakob Christoffel von Grimmelshausen
(1622?―1676)

ドイツの小説家。ドイツ・バロックの小説のなかで唯一現在でも愛読されている『阿呆(あほう)物語』(1669)の作者であるが、若いころのことはよくわかっていない。後年は南ドイツの小村レンヒェンで過ごし、一時その村長を務めた。全部で約20編の著作がある。『阿呆物語』は三十年戦争を背景として、主人公が幼少のころから混乱の世の中へ投げ出され、数奇な運命にもてあそばれながら、悲惨と滑稽(こっけい)が同居する人生の諸領域をさまよい、ついには世の無常を悟り、隠者となって神との和合のなかに魂の平安をみいだす過程を描いている。しかし、一人間の体験記、成長記のたぐいではなく、有為転変の生の実相を多角的に教示するのが主眼である。ドイツにおけるピカロ小説の代表であるが、内容、構成、叙述方法ともに洗練されており、本格的長編小説の到来を告げるものである。グリンメルスハウゼンは民衆的作家で、当時主流であった宮廷文人とは異なるが、主として独学により驚異的学識を身につけており、その作品には娯楽性と同時に、深い思想性、宗教性がある。それが彼を不滅の詩人たらしめている理由であろう。[義則孝夫]
『望月市恵訳『阿呆物語』(岩波文庫)』

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世界大百科事典内のグリンメルスハウゼンの言及

【ジンプリチシムスの冒険】より

グリンメルスハウゼン作の小説。1669年刊。…

※「グリンメルスハウゼン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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