デジタル大辞泉 「グリーンニューディール」の意味・読み・例文・類語
グリーン‐ニューディール(Green New Deal)
[補説]世界大恐慌時に米国ルーズベルト大統領が行ったニューディール政策に由来する名称。オバマ大統領は、自然エネルギー等に10年間で1500億ドルを投資し、500万人の新規雇用を創出すると表明して注目された。
1930年代の大恐慌の際、ルーズベルト米大統領が打ち出したニューディール政策のように、政府が再生可能エネルギーなど環境保全に貢献する投資を積極的に行い、環境問題の解決と同時に雇用拡大や経済成長を実現しようとの政策。コロナ禍からの復興投資を環境保全に集中投資するグリーンリカバリー(復興)という政策もある。
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環境分野への集中・大型投資で、地球温暖化防止と景気活性化の両立を目ざす政策。「グリーンディール」とよばれたり、英語の頭文字をとってGNDと略されたりする。大恐慌時にアメリカ大統領フランクリン・ルーズベルトが打ち出したニューディール政策になぞらえ、2008年のリーマン・ショック後にアメリカ大統領バラク・オバマが提唱した。太陽光や風力などの再生可能エネルギーの活用、将来有望なエコカー(環境対応車)の導入、公共交通システムの抜本的見直し、次世代送電網であるスマートグリッドの整備、温暖化に起因した大災害に備えたインフラ強靭(きょうじん)化などを財政支出と減税で進め、温暖化ガスの削減、成長率の押し上げ、新たな雇用(グリーン・ジョブ、アメリカで500万人)創出の同時達成を目ざす。しかし2017年、地球温暖化に懐疑的なドナルド・トランプが大統領につき、アメリカのグリーン・ニューディールは頓挫(とんざ)した。
リーマン・ショック後の世界同時不況から脱却するため、アメリカだけでなく、ドイツ、フランス、イギリス、中国、韓国などが2008年以降、類似のグリーン・ニューディール構想を打ち出した。ヨーロッパ連合は2019年、2050年までにヨーロッパの温暖化ガス排出ゼロを目ざすヨーロッパグリーンディール構想をまとめ、2030年までに総額1兆ユーロを投じることで合意した。中国は第十三次五か年計画(2016~2020年)に経済成長と環境対策を両立させる「緑色発展(グリーン・ニューディール)」構想を盛り込んだ。日本では2009年(平成21)、環境省が日本版グリーン・ニューディールとして「緑の経済と社会の変革」構想を発表した。グリーン・ニューディールは政権交代でその興廃が大きく左右される特色があり、アメリカでも2020年大統領選挙の民主党候補ジョー・バイデン(1942― )の政権構想に、再生エネルギー推進などのグリーン・ニューディールが盛り込まれている。
[矢野 武 2020年10月16日]
(高野朋美 フリーライター / 2009年)
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