コペルニクス的転回(読み)コペルニクステキテンカイ(英語表記)Kopernikanische Wende ドイツ語

デジタル大辞泉 「コペルニクス的転回」の意味・読み・例文・類語

コペルニクスてき‐てんかい〔‐テンクワイ〕【コペルニクス的転回】

《〈ドイツkopernikanische Wende
カント哲学立場を示す語。従来認識対象に依拠すると考えられていたのに対し、対象の認識は主観の先天的形式によって構成されると論じたカントがこの主客関係の転換コペルニクスによる天文学説上の転換にたとえて呼んだもの。
発想法を根本的に変えることによって、物事の新しい局面が切り開かれることをいう。

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精選版 日本国語大辞典 「コペルニクス的転回」の意味・読み・例文・類語

コペルニクスてき‐てんかい‥テンクヮイ【コペルニクス的転回】

  1. 〘 名詞 〙 ( [ドイツ語] Kopernikanische Wendung の訳語 )
  2. カントが自分の認識論上の立場を特徴づけた言葉。主観は対象に従いそれを映すとする従来の考え方を逆転させ、対象が主観に従い、主観の先天的な形式によって構成されると主張して、これを天動説に対して、地動説を主張したコペルニクスの立場になぞらえた。
  3. 従来の考え方とは根本的に異なる画期的な考え方。また、その状況
    1. [初出の実例]「ヨーロッパ人達の精神界の不可避なコペルニクス的転回をも意味する」(出典:モンテーニュと人喰人(1947)〈渡辺一夫〉一)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コペルニクス的転回」の意味・わかりやすい解説

コペルニクス的転回
こぺるにくすてきてんかい
Kopernikanische Wende ドイツ語

カントが、自分の学説の独創的なることを自負して用いた語。従来、認識は、すでに存在している外界を主観がいかに受け入れるか、というところに成立すると考えられていたが、カントは、認識の対象である世界は、空間・時間および範疇(はんちゅう)という感性・悟性の先天的形式にのっとってもともと主観が構成したものである、と主張し、天文学において発想の転換を図ったコペルニクスに自らをなぞらえたのである。

[武村泰男]

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故事成語を知る辞典 「コペルニクス的転回」の解説

コペルニクス的転回

発想を根本的に変えることによって、ものごとの新しい局面を切り開くことのたとえ。

[使用例] その大きなコペルニクス的転回が、私の内部に、ある奇妙な偏執的な観念を育てていることに気づくことがある[五木寛之*風に吹かれて|1968]

[由来] 一八~一九世紀のドイツの哲学者、カントの「純粋理性批判」第二版の序文から。自身の哲学がものごとのとらえ方を逆転させたことを、コペルニクスが天動説を捨てて地動説を唱えたことにたとえています。

〔英語〕Copernican Revolution.

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百科事典マイペディア 「コペルニクス的転回」の意味・わかりやすい解説

コペルニクス的転回【コペルニクスてきてんかい】

旧来の天動説に対するコペルニクスの地動説のような180度の大転換をいう。原語はkopernikanische Wendung。カントは認識(主観)が対象(客観)に依存するという旧説に対し,対象(客観)こそ認識(主観)により構成されるとする自己の認識論上の転回をこう呼んだ。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コペルニクス的転回」の意味・わかりやすい解説

コペルニクス的転回
コペルニクスてきてんかい
Kopernikanische Wendung

カントが自己の認識論上の立場を表わすのに用いた言葉。これまで,われわれの認識は対象に依拠すると考えられていたが,カントはこの考え方を逆転させて,対象の認識はわれわれの主観の構成によって初めて可能になるとし,この認識論上の立場の転回をコペルニクスによる天動説から地動説への転回にたとえた。

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世界大百科事典(旧版)内のコペルニクス的転回の言及

【コペルニクス】より

…しかし宇宙がもし無限なら,そこには中心はないはずである。その種の議論をコペルニクスは天文学の問題ではなく,自然哲学者にまかせるべきだと考えて,みずからは立場を明確にしていないが,その発想が〈閉ざされた〉中世的宇宙観(コスモス)から〈開かれた〉近代的宇宙観への移行のゲート・キーパーとして影響したことは確かであり,この宇宙観・世界観の大変革がしばしば〈コペルニクス革命〉と称されたり,転じて哲学その他の分野で〈コペルニクス的転回〉(カント)の語が用いられるゆえんである。力学の問題は彼にも解けぬ問題であったが,従来のアリストテレス的な重力が,地球だけでなく,すべての天体について存在することを認めている。…

※「コペルニクス的転回」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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