サイコオンコロジー

デジタル大辞泉 「サイコオンコロジー」の意味・読み・例文・類語

サイコ‐オンコロジー(psycho-oncology)

悪性腫瘍について心理学精神医学・社会的側面から研究する学問がん患者家族医療従事者心理・精神面に与える影響、および患者の心理や患者をとりまく家族・職場地域などの社会的因子症状治療経過に与える影響について研究する。精神腫瘍しゅよう学。

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百科事典マイペディア 「サイコオンコロジー」の意味・わかりやすい解説

サイコオンコロジー

サイコロジーpsychology(心理学)とオンコロジーoncology(腫瘍学)を合わせてサイコオンコロジーとしたもの。日本語では精神腫瘍学という。(がん)治療に精神的なケアを取り入れることを目的とした新たな医学の分野である。 1986年に国際サイコオンコロジー学会が発足し,米国,英国,ドイツ,日本など13ヵ国が参加している。同学会によれば,サイコオンコロジーには大きくわけて,(1)あらゆる段階の癌患者や家族・介護者の心理的な反応,(2)病気の危険度・発見・生存に影響を与える心理的・行動的・社会的要因,の2つを研究対象としている。 こうした新たな学問分野が登場した背景には,精神的な苦悩抑鬱(よくうつ)状態が免疫機能を低下させ,癌の発生率を増加させるとした報告が数多くあることや,患者のクオリティ・オブ・ライフが重要視されるようになったことがあげられる。さらに,癌の告知が進んだことで,患者は診断結果に打ちひしがれながら,多くの検査や苦しい治療に耐えなければならず,周囲からの精神的な援助がますます必要とされている。

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家庭医学館 「サイコオンコロジー」の解説

さいこおんころじー【サイコオンコロジー】

 心(サイコ)とがん(オンコ=腫瘍(しゅよう))との関係を解明し、がん患者さんの精神面のケアを目的とする学問で、がん医療の領域では最新の分野です。精神医学、社会科学、腫瘍学の3つの立場から研究され、精神腫瘍学とも訳されます。
 研究は、がんが患者さんや家族、医療従事者の精神面にどのような影響を与えるかという点と、逆に、精神面や行動が変化するとがんの予防や進行、生存率などにどんな影響を与えるかという点の、2方向から行なわれています。
 たとえば、がんを抑える免疫(めんえき)機構が精神状態やストレス、うつ状態などと密接な関係があることが明らかになり、がんの予防と治療に役立てるようになりました。また、がん告知からホスピスに至るまで、がん患者さんのQOL(生活の質)を高める成果があり、さらに質の高いがん診療の実現が期待されています。

さいこおんころじー【サイコオンコロジー】

 サイコオンコロジーとは、がんの患者さんの病状経過に対する社会的・心理的影響を研究する学問分野のことです。従来は末期医療と関連づけられることが多かったのですが、近年は、患者さんの生活様式、ストレス、性格などの因子ががんの発生、進行とどのような関係があるかという問題へと興味が移行しつつあります。
 すなわち、がんの患者さんに対する身体的治療と並行して、心理面からの積極的アプローチ(レクリエーションの活用など)が重視されます。うつ病とがん発生率の関連のように、サイコオンコロジーは精神神経免疫学における重要な一分野です。

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