ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サザーランド」の意味・わかりやすい解説
サザーランド
Sutherland, Donald
[没]2024.6.20. アメリカ合衆国,フロリダ,マイアミ
ドナルド・サザーランド。カナダの俳優。残虐な悪党から慈愛に満ちた父親まで,あらゆる役を巧みに演じ分ける性格俳優として,『M★A★S★H マッシュ』M*A*S*H(1970)や『SF/ボディ・スナッチャー』Invasion of the Body Snatchers(1978),『普通の人々』Ordinary People(1980),「ハンガー・ゲーム」Hunger Gamesシリーズ(2012〜15)など数多くの作品に出演し,見る者に強い印象を与えた。
トロント大学で工学と演劇の学位を取得。ロンドンで舞台修行を積み,「セイント 天国野郎」The Saint,「軍法会議」Court Martial,「アベンジャーズ」The Avengersなどのテレビシリーズに出演した。映画デビューはイタリア・フランス合作の怪奇映画『生きた屍の城』Castle of the Living Dead(1964)。ハリウッドでは 1967年に『特攻大作戦』The Dirty Dozenに出演し,まぬけなバーノン・ピンクリー役が話題となり,さらに戦争風刺映画の傑作『M★A★S★H マッシュ』で主役の軍医ホークアイ・ピアースに抜擢され,大きな注目を集めた。批評家から絶賛された壮大なイタリアの叙事詩『1900年』Novecento(1976)では殺人もいとわないファシストの指導者を,『針の眼』Eye of the Needle(1981)ではナチスのスパイを演じた。一方,アカデミー賞 4部門(作品賞,監督賞,助演男優賞,脚色賞)を獲得したヒューマンドラマ『普通の人々』では苦悩する父親を好演した。『SF/ボディ・スナッチャー』や『バッフィ ザ・バンパイア・キラー』Buffy the Vampire Slayer(1992)の SF映画にも登場し,スーザン・コリンズ作の「ハンガー・ゲーム」の映画化 4作品ではディストピア社会の大統領に扮した。
テレビドラマでは,『ロシア52人虐殺犯/チカチーロ』Citizen X(1995)での連続殺人鬼を追う指揮官役でゴールデングローブ賞とエミー賞の助演男優賞に輝いた。『ジョンソン大統領/ヴェトナム戦争の真実』Path to War(2002)でも政治顧問のクラーク・クリフォード役でゴールデングローブ賞助演男優賞を受賞した。
その他の映画出演作に『コールガール』Klute(1971),『赤い影』Don't Look Now(1973),『白く乾いた季節』Dry White Season(1989),『プライドと偏見』Pride & Prejudice(2005),『アド・アストラ』Ad Astra(2019),『ストーカー 3日目の逆襲』Alone(2020)など。テレビシリーズでは「ダーティ・セクシー・マネー」Dirty Sexy Money(2007~09),「クロッシング・ライン ヨーロッパ特別捜査チーム」Crossing Lines(2013~15),ミニシリーズ『ダークエイジ・ロマン 大聖堂』The Pillars of the Earth(2010)などに出演。2017年アカデミー名誉賞受賞。息子のキーファー・サザーランドも著名な俳優。
サザーランド
Sutherland, Dame Joan
[没]2010.10.11. スイス,レザバン
オーストラリアのソプラノ歌手。フルネーム Dame Joan Alston Sutherland。20世紀を代表するコロラトゥーラソプラノとして知られ,ベルカント・オペラで高い評価を得た。シドニー音楽院で学び,1951年にオペラデビューを果たし,その後ロンドンの王立音楽大学に留学する。1952年にコベントガーデン劇場を本拠地とするロイヤル・オペラに入団,ウォルフガング・アマデウス・モーツァルトの『魔笛』の第1の侍女役でデビューした。1959年にガエターノ・ドニゼッティの『ランメルモールのルチア』の主役を演じ,プリマドンナとして認められた。1961年に同作品でニューヨークのメトロポリタン歌劇場にデビューし,世界の主要歌劇場で活躍した。ほかに,ジャック・オッフェンバックの『ホフマン物語』の恋人役,ドニゼッティの『連隊の娘』のマリー役などをあたり役とした。1961年イギリス王室歌手の称号を受け,1978年にデームに叙された。1991年メリット勲章を受章。
サザーランド
Sutherland, Edwin Hardin
[没]1950.10.11. インディアナ,ブルーミントン
アメリカの社会学者。犯罪社会学派の代表的な刑事学者である。 1913年シカゴ大学で博士号を取得。その後,ウィリアム・ジュウェル,イリノイ,ミネソタ,シカゴ,インディアナ各大学で社会学を講じた。専攻は刑事学で,その犯罪学理論は「犯罪行動の習得」の理論に集約される。すなわち,個人が犯罪行為に出る過程を習得という概念をもって解明するもので,習得は,他人との交互作用,個人的な集団内での接触,法的な打算など9つのメカニズム命題で解明できるとした。それはアメリカ犯罪社会学で伝統的な,習慣を中心とする犯罪行動の発生的解明の側面をなしていた。著書には彼の発表した多くの論文の集大成である『刑事学原論』 Principles of Criminology (1947) のほかに,『職業的窃盗犯人』 The Professional Thief (37) ,『ホワイトカラー犯罪』 White Collar Crime (49) などがある。
サザーランド
Sutherland, Graham Vivian
[没]1980.2.17. ロンドン
イギリスの画家。初め鉄道技師を目指したが,1921~25年ゴールドスミス美術学校に学び,銅版画家となる。版画はロマン主義的で,S.パーマーの影響が顕著であるが,ときに W.ブレーク,P.ナッシュ,H.ムーア,ピカソらの影響もみられる。油絵は 35年ウェールズ地方を訪れ,その風景に魅せられて始めた。作品には『小道の入口』 (1939,テート・ギャラリー) などの風景画が多いが,第2次世界大戦中は従軍画家として,爆撃で破壊された建造物を多く描いた。 46年に描いたノーサンプトンのセント・マシューズ聖堂の壁画『磔刑』は有名。画風は具象的な要素を残した半抽象ともいうべきものであるが,イギリスの幻想的絵画の伝統に根ざしたものといえる。
サザーランド
Sutherland, Earl Wilbur
[没]1974.3.9. マイアミ
アメリカの医学者。ワシントン大学医学部卒業。同大学助教授,ケースウェスタンリザーブ大学医学部教授を経て,1963年からバンダービルト大学医学部教授。生体内の第1メッセンジャー (伝達物質) に対し,第2メッセンジャーとしてのサイクリック (環状) AMPの産生と機能を研究し,58年にサイクリック AMPの重要性を指摘し,次いで細胞膜のアデニール・シクラーゼという酵素が活性化して,ホルモンの働きを「真空管のように」増幅拡大するという学説を発表,その後この学説が証明された。この研究に対して 71年度のノーベル生理学・医学賞が贈られた。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

