サトウ(読み)Satow,Ernest Mason

朝日日本歴史人物事典 「サトウ」の解説

サトウ

没年:1929.8.26(1929.8.26)
生年:1843.6.30
幕末明治期のイギリス外交官。薩道と号す。ロンドンクラプトンに生まれる。1859年夏ロンドンのユニバーシティ・カレッジに入学。2年で修了したころ,兄が借りてきたL.オリファントの《Narrative of the Earl of Elgin’s Mission to China and Japan in the Years 1857,’58,’59.》に魅了され,東洋に憧れる。まもなく外務省通訳生試験に合格,61年8月20日,日本への通訳生に任命された。北京,上海を経て,文久2年8月15日(1862年9月8日)横浜に着任した。慶応1(1865)年4月横浜領事館付き日本語通訳官となり,翌年ジャパン・タイムズ』に「英国策論」を発表,自ら日本語に翻訳した。それは,天皇元首とする諸大名の連合体が将軍に代わって支配勢力になるべきという内容で,広く流布した。明治1(1868)年1月日本語書記官昇任,翌年2月一時帰国ののち,同3年末に帰任。8年2月再び一時帰国し,10年3月帰任。15年12月31日離日した。1984年1月シャム総領事に任命され,はじめて全権地位につき,85年2月公使に昇任,87年5月帰国し弁護士資格を得る。ウルグアイ公使,モロッコ公使を務めたのち,日本駐在公使に任命され明治28年7月16日に来日。同33年5月4日離日し,10月26日清国公使として北京に着任,1906年7月帰国し,同年10月引退した。その死去に際して『タイムズ』は「偉大な極東外交官」とたたえた。『会話篇』,『英和口語辞典』,『一外交官の見た明治維新』(坂田精一訳,1960)をはじめ数多くの日本研究書を残す。<著作>長岡祥三・福永郁雄訳『アーネスト・サトウ公使日記』

(内海孝)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サトウ」の意味・わかりやすい解説

サトウ
Satow, Sir Ernest Mason

[生]1843.6.30. ロンドン
[没]1929.8.26. デボン,オタリーセントメアリー
イギリスの外交官。ユニバーシティ・カレッジ卒業後,1861年イギリス外務省の日本在勤通訳生の試験に合格,1862年来日。公使館の通訳官から書記官に昇進し,1869年いったん帰国。翌 1870年に再び日本に公使館書記官として着任,1883年帰国した。その間,明治維新において倒幕派を支持し,西郷隆盛木戸孝允ら倒幕派雄藩の指導者とイギリス公使ハリー・パークスとの連絡に努めた。1866年に『ジャパン・タイムズ』紙に発表した論説"English Policy"は『英国策論』として邦訳され,倒幕派を鼓舞した。タイ,ウルグアイ,モロッコの駐箚公使(特命全権大使)を経て,1895年日本駐箚公使として三たび着任,1900~06年には清国駐箚公使として義和団事変などの処理にあたった。著書に『一外交官の見た明治維新』A Diplomat in Japan(1921)などがあり,サトウの日記や受信書簡などはイギリス官公記録局に残されている。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「サトウ」の解説

サトウ
Ernest Mason Satow

1843.6.30~1929.8.26

イギリスの外交官。日本研究の開拓者。1861年日本勤務の通訳生としてイギリス外務省に入省。62年(文久2)8月横浜に到着,通訳官をへて日本語書記官に昇進。倒幕勢力から情報を入手し駐日公使パークスの対日外交を助けた。66年「ジャパン・タイムズ」に「英国策論」を発表。83年(明治16)離日,95年7月駐日公使として3度目の来日,日英同盟の推進に尽力。1900年駐清公使に転任。著書「一外交官の見た明治維新」。

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旺文社日本史事典 三訂版 「サトウ」の解説

サトウ
Sir Ernest Mason Satow

1843〜1929
イギリスの外交官
日本名佐藤愛之助。1862年通訳として来日。公使パークスを助けて活躍し,イギリスの対日政策を薩長討幕派支持に向かわせた。のち転任したが'95年公使として再度来日した。また日本研究家としても著名で,自叙伝『一外交官の見た明治維新』は維新史研究のうえで重要な史料。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「サトウ」の意味・わかりやすい解説

サトウ
さとう

サトー

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