紋別郡
正保日本図(高木崇世芝氏蔵)には「エウヘチエソ」(湧別)の近地点に「沼 遠浅」とみえ、現サロマ湖が確認されている。一八二一年(文政四年)上呈の大日本沿海輿地全図(伊能図)には「トキセートー」とみえる。「トキセー」はサロマ湖の外海を仕切る長い砂洲上の北西にある外海側の地名(現湧別町登栄床)。海から湖に入る時はここが中継地であったようで、サロマ湖の名称にも使われたものか。一七九八年(寛政一〇年)の谷口青山沿岸図(市立函館図書館蔵)には「トキセ、夷ヤ六七。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
北海道北東部、オホーツク海岸にある塩水湖。湖名はアイヌ語のサル・オマ・トー(葭原(よしはら)にある湖)の意。面積151.82平方キロメートルで、琵琶(びわ)湖、霞ヶ浦(かすみがうら)に次ぐ。周囲92キロメートル、最大深度19.6メートル。延長30キロメートル、幅200~700メートルの砂嘴(さし)によってオホーツク海と隔てられている潟湖(せきこ)で、かつては東端の鐺沸(とうふつ)付近で海に通じ、冬季は流砂で閉じられていたが、1929年(昭和4)砂嘴の中央に約300メートルの開口部が掘削された。これによって湖水と海水との交換が活発となり、外海の魚類が入り、またホタテガイ生育の適地となった。現在ホタテガイのほか、カキ、ホッカイシマエビ、ウニの養殖が行われる。網走(あばしり)国定公園に指定され、さんご岬、キムアネップ岬などにはアッケシソウ(ヤチサンゴ)の群落がある。1月上旬から3月上旬まで全湖面が結氷する。
[岡本次郎]
北海道北東部,オホーツク海岸にある塩湖。面積151.7km2で,琵琶湖,霞ヶ浦に次ぐ日本第3の湖である。周囲72km,最大深度19.6m。1月上旬から3月上旬まで全湖面が結氷する。延長30km,幅200~700mの砂州(さす)が内湾と外海とを隔てている潟湖で,かつては湖の東端部の鐺沸(とうふつ)付近で海に通じ,毎年冬季の流砂によって閉じられていたが,1929年砂州の中央部を掘削して開口した。これによって湖水と外海水との交換が活発となり,外海性の魚類が入った。またホタテガイなどの生育に好環境が与えられ,ホタテガイ,カキ,ノリの養殖が発展した。湖岸部を含めて網走国定公園に指定され,サンゴ岬,キムアネップ岬などにはアッケシソウ(サンゴソウ)の群落がある。
執筆者:岡本 次郎
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