シバ(芝)(読み)しば(英語表記)japanese lawn grass

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シバ(芝)」の意味・わかりやすい解説

シバ(芝)
しば / 芝
japanese lawn grass
[学] Zoysia japonica Steud.

イネ科(APG分類:イネ科)の多年草。稈(かん)は堅く、走出茎は地面を長くはい、分枝する。5~6月、葉腋(ようえき)から短い花茎を出す。花穂は直立し、長さ3~5センチメートル。小穂は左右不同の卵形で長さ約3ミリメートル、幅は長さの約2分の1、左右扁平(へんぺい)で小花が1個ある。第1包穎(ほうえい)は退化し、第2包穎は革質で光沢がある。内穎と鱗被(りんぴ)はともに退化している。日当りのよい草地に生え、日本、朝鮮半島、中国に分布する。同属の別種で小穂が細いコウシュンシバ(恒春芝)や、葉幅が1ミリメートル未満で糸状になるコウライシバ高麗芝)、また小穂が大きいオニシバ(鬼芝)とともに芝生として栽培される。開花時はほかのイネ科植物と異なり、花柱や雄しべが小穂の両側からではなく頂端から抜き出る。最初は雌しべだけ出て先に成熟して雌性期を迎え、その後に花柱がしぼみ、雄しべが伸び出て雄性期に転化する。小穂はこの時期に紫色を帯びる。

[許 建 昌 2019年8月20日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シバ(芝)」の意味・わかりやすい解説

シバ(芝)
シバ
Zoysia japonica; Japanese lawn grass

イネ科の多年草。日当りのよい山野や路傍などに生えるが,庭園の芝生やゴルフ場のグリーンなどに大規模に栽培される。日本,朝鮮半島,中国に分布する。茎は地面を長くはい,針金状でじょうぶで,節から根をおろす。よく分枝し,ところどころに短い広線形の葉をつける。初夏,20cmほどの直立する花茎を出し,その頂部に帯紫色で光沢のある細い花穂をつける。芝生として普通に栽植される。シバに似て茎は細く,葉も糸状のイトシバ (コウライシバ) Z. tenuifolia; Korean velvet grassも芝生にされ,美しいがあまりじょうぶではない。なお,セイヨウシバ lawnは多種類のイネ科の草本で種子をまいて育てる。冬も葉が枯れず,いわゆる常緑芝であるが夏の高温多湿に弱い。ナガハグサ (長葉草)などが最もよく使われる。

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百科事典マイペディア 「シバ(芝)」の意味・わかりやすい解説

シバ(芝)【シバ】

ノシバ。ほぼ日本全土にみられるイネ科の多年草。芝生として栽培され,また日当りのよい路傍や丘陵地などにも野生する。匍匐(ほふく)枝は長い節間と三つの接近した節の集りが交互について長くのびる。それぞれの節の集りから群がって出る葉には毛がある。5〜6月,長さ10〜20cmの細長い茎がのび,その頂に短い棒のような花序がつく。小穂は1花のみがつき,長さ3〜5mm,光沢がある。近縁のコウライシバ(ビロードシバ)は葉が細くて柔らかく,芝生により適しているが,耐寒性がやや小さい。また,海岸砂地にはえるオニシバはシバよりも大型で,長さ約7mmの小穂をもつ。

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