シベリア高気圧(読み)シベリアコウキアツ

デジタル大辞泉 「シベリア高気圧」の意味・読み・例文・類語

シベリア‐こうきあつ〔‐カウキアツ〕【シベリア高気圧】

主として冬季シベリア・モンゴル方面に現れる寒冷高気圧。強まると日本では北西季節風が吹き出す。

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精選版 日本国語大辞典 「シベリア高気圧」の意味・読み・例文・類語

シベリア‐こうきあつ‥カウキアツ【シベリア高気圧】

  1. 〘 名詞 〙 シベリアに発達する低温で乾燥した優勢な高気圧。日本の冬の気候を大きく支配し、この強弱が冬の寒暖に影響する。〔天気予報論(1946)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シベリア高気圧」の意味・わかりやすい解説

シベリア高気圧
しべりあこうきあつ

シベリアに中心をもつ高気圧。おもに寒候期(10月~3月)に現れ、冬季にもっともよく発達する。典型的な場合には、中心気圧が1070~80ヘクトパスカルに達し、ユーラシア大陸の大部分を覆うことがある。持続性、停滞性が大きく、寒候期の気候図(平均気圧分布)にも、明瞭(めいりょう)に表されている。その成因は、海陸分布と大地形(チベット・ヒマラヤ山塊)の影響で、アジア大陸東岸上空偏西風波動の定常的な谷ができ、この谷の西側で北極海からシベリアに大規模に流入する寒気団が、チベット・ヒマラヤ山塊にせき止められて大陸上に蓄積されること、また、大陸の地表面の放射冷却によって形成される下層寒気も大陸上に蓄積されること、などである。この寒気団は、日本近海を発達しながら北東進する低気圧の後面で、北西季節風(シベリア風)となって大規模に吹き出して、東アジア一帯に寒波をおこす。寒気が吹き出したあとは、シベリア高気圧は弱まり、中心もいくつかに分かれる。しかし寒気がふたたび蓄積されると、また強まり、そのようにして数日~十数日の周期消長を繰り返す。三寒四温の天気変化もこれによる場合が多い。モンゴル高気圧とよばれることもある。

[倉嶋 厚]

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改訂新版 世界大百科事典 「シベリア高気圧」の意味・わかりやすい解説

シベリア高気圧 (シベリアこうきあつ)
Siberian anticyclone

冬季モンゴル北部に中心をもつ大高気圧で,その中心部は停滞性である。最下層は放射冷却で著しく低温だが,その上には沈降流があり,気層全体は安定で乾燥している。この高気圧は上空の偏西風の変動に従って1週間前後の間隔で盛衰する。偏西風がアルタイ・天山山系の風上で北方に変位し高気圧性の流れを強めると,その風下で質量集積が起こり下層の気圧を高める。下層の冷却した気団は崑崙山脈で南下を阻止され,上層の力学効果と相まって強い高気圧ができる。偏西風は日本列島付近で南下し,カムチャツカ半島に発達した低気圧をつくると大陸の気塊は季節風となって激しく流出し,高気圧は弱まり分裂する。その後再び北極気団の南下変質,上層の気圧の峰の形成が起こり,高気圧は強まる。夏季はシベリア東部が低圧部に変わる。春一番と呼ばれる沿海州での低気圧の発達は,この大高気圧の衰退を告げている。
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百科事典マイペディア 「シベリア高気圧」の意味・わかりやすい解説

シベリア高気圧【シベリアこうきあつ】

主として冬季にシベリア大陸に現れる寒冷高気圧。世界最大のもので,厳寒期には直径5000kmに及ぶことがある。日本をはじめ東アジアの冬の天気はこの高気圧の消長に左右され,これが強まると北西季節風が吹き出す。この高気圧を形成する大陸性寒帯気団をシベリア気団という。
→関連項目寒帯気団

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シベリア高気圧」の意味・わかりやすい解説

シベリア高気圧
シベリアこうきあつ
Siberian anticyclone

おもに冬季にシベリアや中国東北区で発達する,背の低い寒冷な大陸性高気圧。その成因は,地表面の冷却によってできた寒気団や,北極海方面から南下した寒気団が,チベット高原やヒマラヤ山脈などにせき止められて大陸上に滞留するためと考えられているが,上層を流れる偏西風波動も関係している。

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世界大百科事典(旧版)内のシベリア高気圧の言及

【高気圧】より

…その下層が大陸上の放射冷却で低温度の空気から成るものがある。大陸高気圧と呼ばれる冬のシベリア高気圧や北アメリカ大陸の高気圧がそれである。ここでも地形の効果があって,崑崙,祁連山脈がシベリアでつくられる寒気の南下を阻止するので,シベリア高気圧は南側に障壁のない北アメリカ大陸の高気圧に比べて強大になる。…

※「シベリア高気圧」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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