シャル(英語表記)Shull, Clifford G.

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

シャル
Shull, Clifford G.

[生]1915.9.23. ペンシルバニア,ピッツバーグ
[没]2001.3.31. マサチューセッツ,メドフォード
アメリカ合衆国の物理学者。フルネーム Clifford Glenwood Shull。1937年カーネギー工科大学を卒業,1941年ニューヨーク大学で博士号を取得。民間企業での研究生活を経て,1946~55年オークリッジ国立研究所の物理学主任を,1955~86年マサチューセッツ工科大学 MIT教授を務めた。オークリッジ国立研究所で,単一速度の中性子線(→中性子)を物質内に透過させ,回折散乱する中性子を測定して物質の原子構造を調べる中性子散乱の技術を確立した(→回折法)。1994年,シャルとは異なる方法で中性子散乱の分光法を開発したカナダの物理学者バートラム・N.ブロックハウスとともにノーベル物理学賞を受賞した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

シャル
しゃる
Clifford G. Shull
(1915―2001)

アメリカの実験物理学者。ピッツバーグ生まれ。1933年にカーネギー工科大学(現、カーネギー・メロン大学)に入学し、物理学への興味をかきたてられる。1937年に卒業して、ニューヨーク大学の大学院に進学。ここで原子核物理学の研究者たちと出会い、1941年に博士号を取得。民間会社の研究所を経て、1946年から1955年までクリントン研究所(現、オークリッジ国立研究所)に在籍し、物質を構成する原子などの粒子の並び方を調べる中性子散乱についての研究を行う。X線を使って物質の微細な構造を調べる従来の方法では、原子の表面を覆う電子の分布の観測はできても、その内部にある原子核の観察はむずかしかった。中性子を使うと、電子の影響を受けずに原子核を調べることができる。この手法は、現在では高温超伝導体やウイルスなどの構造を調べるために広く応用されている。1955年にマサチューセッツ工科大学(MIT)に移り、退職する1986年まで教授を務めた。中性子散乱の手法、とくに物質中の原子の配列を決めるのに有効な中性子回折の技法を開発した業績に対し、同じ中性子散乱で原子の振動状態などを観察する手法を開発したB・ブロックハウスとともに、1994年のノーベル物理学賞を受賞した。[馬場錬成]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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