すいば(その他表記)(common)sorrel
garden sorrel
Rumex acetosa L.

精選版 日本国語大辞典 「すいば」の意味・読み・例文・類語

すい‐ば【罵】

  1. 〘 名詞 〙 悪口を言って人をののしること。
    1. [初出の実例]「義経不聴而自先、景時罵不已。義経怒、欲殺之」(出典:日本外史(1827)三)
    2. [その他の文献]〔柳宗元‐興太学諸生書〕

すいば

  1. 〘 名詞 〙 杉原紙(すぎはらがみ)をいう女房詞
    1. [初出の実例]「女房達、皆、異名を申すと云々〈略〉椙原をばすいば、引合をばひきと申也」(出典:海人藻芥(1420))

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改訂新版 世界大百科事典 「すいば」の意味・わかりやすい解説

スイバ
(common)sorrel
garden sorrel
Rumex acetosa L.

茎葉にシュウ酸を含むため,酸味のあるタデ科多年草和名は〈酸い葉〉を意味し,別名のスカンポもその転化であろう。子どもがときどき若芽を食べる。地下茎は太く短く,多くの根を分岐する。根出葉は軟らかく,長楕円形で長さ5~10cm,葉柄をもち群がって生え,早春には紅紫色を帯びる。茎は円柱形で直立し,上部の葉は茎を抱き,高さ30~80cm,葉鞘(ようしよう)は膜質。雌雄異株で雌株の方が高く,花序の数も多い。花期は4~5月。花は円錐花序につき花被片は6枚,花柱は3本で,はけ状に細裂し淡紅色,おしべは6本,葯は花被の外に下垂し,多量の花粉を飛散する風媒花である。堅果は三稜形で長さ2mm。開花後に内側の3枚の花被片は翼状に生長し,堅果を包む。淡紅色で長さ5mm。北半球温帯に広く分布し,日本では全域の農耕地,日当りのよい人里の草地に多い。アンモニアの過剰の吸収に耐えるので,酸性土壌にも生える。若芽は食用になる。欧米ではとくに好まれ,栽培されて緑色野菜としてサラダやソースの材料に用いられる。英名のソレルsorrelはフランス語surrelle(〈酸っぱい〉を意味するsurから)に由来する。しかし多量に食べると下痢や嘔吐などの中毒をおこす。ヨーロッパでは浸出液をミョウバン媒染して毛織物の黄色染料とし,乾燥させた地下茎からは,淡紅色の染料をとった。漢方では,ギシギシと同様に薬用にする。

 スイバの所属するギシギシ属Rumex(英名sorrel,dock)は,北半球の温帯域に約200種が分布し,日本にも14種が分布する。ヒメスイバR.acetosella L.(英名sheep sorrel)はスイバと同様,茎葉に酸味がある。雌雄異株で,茎は高さ20~50cm,雌株の方が大きい。ひも状の地下茎を長く伸ばし子株を作る。ヨーロッパ原産の帰化植物で,都市の路傍,草地に群生する。

 ギシギシR.crispus L.ssp.japonicus(Houtt.)Kitam.は茎葉に酸味がなく,大型になり,茎は高さ60~100cm。葉は長楕円形で長さ10~25cmになる。花期は5~7月。花は両性花で円錐花序につく。開花後に生長した3枚の花被片は,鈍三角形で長さ6mm。縁に細かい歯牙があり,基部はこぶ状に隆起する。日本全土,中国,朝鮮に分布し,水田のあぜや溝や路傍に生ずる。地下茎と根は,クリソファノールchrysophanol,エモディンemodinを含み,大黄の代用として緩下剤に用いた。また新鮮なものはクリソファノールやアンソロンanthroneを含み,粉にひいて疥癬などの皮膚病につける。また染色にも用い,鉄媒染でねずみ色などを染める。

 ギシギシに似たアレチギシギシR.conglomeratus Murr.やエゾノギシギシR.obtusifolius L.(英名broad-leaved dock)は,ヨーロッパ原産の帰化植物で,路傍や荒地に見られる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「すいば」の意味・わかりやすい解説

スイバ
すいば / 酸葉
[学] Rumex acetosa L.

タデ科(APG分類:タデ科)の多年草。スカンポともいわれる。根茎は太く、短い。茎は直立し、高さ50~80センチメートル、円柱形で紅紫色を帯びる。根出葉は有柄で長楕円(ちょうだえん)形、先は鈍く、基部は矢じり形。茎葉は互生し、広披針(こうひしん)形、基部は膜質の鞘(さや)状となって茎を抱く。雌雄異株。5~8月、長さ15~30センチメートルの円錐(えんすい)花序を頂生する。花被片(かひへん)は6枚、雌花の花被の外片3枚は下方へ反転し、内片3枚は円心形で花期後著しく大形となる。花柱は3本でそれぞれ糸状に細裂する。痩果(そうか)は三稜(さんりょう)形、黒褐色で光沢がある。湿った草地に多く生え、北海道から九州、および北半球の温帯に広く分布する。茎や葉にシュウ酸を含み、酸味がある。酸性土壌の指標植物として知られる。名は「酸き葉」の意味で、若芽を食用とする。

[小林純子 2020年12月11日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「すいば」の意味・わかりやすい解説

スイバ(酸葉)
スイバ
Rumex acetosa; sour dock

タデ科の多年草。スカンポとも呼ばれる。北半球温帯の原産で,いまでは雑草として世界中に分布する。野原や路傍,あぜ道などに多い。太く短い根茎があり,長い根生葉をロゼット状に生じる。葉や茎にシュウ酸が含まれているので酸味がある。夏に,枝分れする大きな花序を出し,細かな緑色の花を多数つける。萼片は6枚,雌雄異株で,雄花にはおしべが6本ある。花後に萼片が大きく生長して赤紫色を帯び,このうち3枚が子房を包んで翼果のようになる。若芽は少量ならば生で食べられるが,ゆでて酸味を除き,あえ物にすることもある。葉は長三角状で細長く,基部は深く鏃形に割れる。茎は直立して 40~70cmになり,太い円柱形で縦に何本もの稜が走る。赤みを帯びることが多い。茎につく葉は基部が鞘をつくって茎を抱く。

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百科事典マイペディア 「すいば」の意味・わかりやすい解説

スイバ

スカンポとも。北半球の温帯に広く分布するタデ科の多年草。茎は直立し,高さ70cm内外。葉は長楕円形で先がとがり,上部のものは茎を抱き,根出葉は柄が長い。5〜6月に淡緑〜緑紫色の小さな花が円錐形に集まって咲く。雌雄異株。花被片は6枚。果実にはまるい3枚の翼があって,こぶがない。シュウ酸を含んですっぱいが,若芽は食べられる。近縁のヒメスイバはヨーロッパ原産の帰化植物で,高さ30cm内外,葉は矛(ほこ)形で,果実には翼がない。

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普及版 字通 「すいば」の読み・字形・画数・意味

罵】すいば

むちでうち罵る。

字通「」の項目を見る


罵】すいば

せめののしる。

字通「」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内のすいばの言及

【オキザリス】より

…カタバミ科カタバミOxalis(英名wood sorrel,sorrel。sorrelはギシギシ属Rumexもさす)は世界各地に約300種が広く分布する草本植物であるが,そのなかで花が大きく観賞用に栽培されるものが,オキザリスの名で呼ばれることが多い(イラスト)。…

※「すいば」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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