翻訳|spectacle
一般に光景,情景を意味する英語であるが,狭義には視覚的に強い印象を与えるもの,さらに,芸能用語として,そういう印象を与える大がかりな場面やだしもののことをいう。語源はラテン語のスペクタクルムspectaculumで,見物席,劇,光景などの意味をもつ。具体的には地震,洪水,火山の噴火などといった天変地異,火災,戦争,あるいは巨大な山や滝のような自然の風景などが考えられ,動きや変化を伴う場面が多用される。また,ほんものの水や火を用いることもある。これらの場面をつくり出すためには,相当な広さをもった舞台空間と大がかりな舞台機構が必要であるから,スペクタクルはおもに複雑な照明や装置を用いる近代以後の劇場に発達した。また,多額の費用を要するので,多くの観客を想定した大衆劇によく認められる。もっぱら視覚に訴えるものであるから,せりふ劇よりも,オペラ,ミュージカル,レビューなど,非言語的,非文学的な要素の強い芸能に現れることが多い。なお,映画やテレビ番組についてもこの言葉は用いられる。
→スペクタクル映画
執筆者:喜志 哲雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…たとえばフランス語で〈舞台上演〉を表すreprésentation(ルプレザンタシオン)は,ある物語を,それを生きる人間ではない別の人間(あるいはそれに代わるもの,たとえば人形)が,なり代わって,〈再現して表す〉仕組みとしての〈再現=代行=表象〉である。それに対して英語のshow(ショー)あるいはフランス語のspectacle(スペクタークル。以下慣用に従いスペクタクルとする)は,〈見せるもの〉としての演劇の最も基底的な特性を表す。…
※「スペクタクル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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